◆柔道 全日本選手権(29日・日本武道館)
体重無差別で行われ、2019年大会の覇者で男子100キロ級21年東京五輪金メダルのウルフ・アロン(パーク24)が出場した。6月の全日本実業団体対抗大会を最後に現役を引退する意向を表明しており、今回が個人戦としては現役最後の試合となった。
1回戦は大外刈りで一本勝ち、2回戦は旗判定3―0で勝利。だが迎えた3回戦で、前回王者の中野寛太(旭化成)に小内刈りで有効を取られ、敗れた。ウルフは「もっと上を目指してやってきたところもあるので、悔しいですね。これでもう一度、柔道をするかって言われると、それはもうやらないですけど。やっぱり最後の最後まで負けるのは嫌だなと思いましたね」と唇をかんだ。
東京五輪後はモチベーションの低下に苦悩したが、昨夏パリ五輪の出場権を獲得。「(パリが)終わってみて、4年後はもう目指せないなと思ったので。ゴールを設定して、そこに向かった方が、今の自分にとってはモチベーション上げられると僕は思ったので、そういう形で引退を宣言したところはあります」と現役を退くことを公言した意図を説明した。「全日本選手権の畳にあがることができて、最後の試合だから意外と楽しめるのかなとか、リラックスしてできるのかなと思っていたんですけど、僕はやっぱりそうはならなかったので…。最後の最後まで柔道というのは僕にとっては勝負事なんだなと思いましたね」と悔しさをにじませた。
最後となる全日本実業団体対抗大会に向けては「1か月ちょっと後に迫っているので、一日一日を精いっぱいやっていきたいと思います」と声を絞り出した。