◆札幌六大学野球◇春季リーグ戦第1節第2日 北海学園大3×―2星槎道都大(2日・札幌円山球場)

 3季ぶりの優勝を目指す北海学園大は、星槎道都大に3―2でサヨナラ勝ちし、開幕から連勝発進となった。今季初登板となった最速159キロのプロ注目右腕・工藤泰己(4年=北海)が先発し、6回2安打10奪三振の自責点0と好投。

集結したプロスカウトの前でチームを勝利に導いた。

 “大人”の工藤が、今季初登板で進化を見せつけた。風速10メートル超えの強風が吹き荒れるコンディションの中でも、大きく乱れることなく6回1失点。「1~3年生の頃よりも楽しく投げられた。それも、力を抜くことを意識した結果」と振り返った。

 力任せだった昨年から、脱力を意識した投球にモデルチェンジ。ミットを凝視して「力んでしまう」癖を改善するため、セットに入る時に三塁側スタンド奥に視線を送りながら心を落ち着かせて右腕を振った。2回2死二、三塁のピンチでは、直球三連投で見逃し三振。「全力じゃない。軽く投げた」と言いながらも、この日最速の154キロでピンチを脱出した。

 6回には味方の2失策と四死球で1点を失い、「厳しい展開になって、力が入るところで投球を乱してしまった」と反省。それでも、島崎圭介監督(53)は「精神的にも大人になった。

右のエースになりつつある」と成長に目を細めた。

 日本ハムの4人などNPB11球団のスカウトが複数人体制で視察。3人体制の巨人・青木高広スカウトは「(東都リーグのトップクラスと比べても)遜色ない」と絶賛した。

 チームは2点ビハインドを追いつき、9回に1番・中島柊左翼手(4年=札幌日大)の適時内野安打でサヨナラ勝ち。2連勝とした。工藤は「本当に良かったです。久しぶりに(先発した試合で)勝ったなという感じ」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、さらなる貢献を誓った。

(島山 知房)

 ◆工藤 泰己(くどう・たいき)2003年9月29日、札幌市出身。21歳。札幌常磐中では軟式のクラブチームT・TBCでプレー。当時のポジションは捕手。北海では1年春からベンチ入り。

3年春、夏の甲子園は控えで、出場はなし。北海学園大では1年春からベンチ入りし、リーグ通算4勝。175センチ、87キロ。右投右打。

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