高校野球の春季静岡県大会準決勝が3日、草薙球場で行われる。準々決勝で今春センバツに出場した常葉大菊川を破った桐陽は、22年春夏甲子園出場の日大三島と対戦。

決勝に進めば、上位2校に与えられる東海大会(24~27日・三重)切符を創部37年目で初めて手にする。もう1試合は、磐田南と聖隷クリストファーが激突する。

 桐陽の前に、次も甲子園出場校が立ちはだかる。日大三島だ。同じ静岡県東部に学校があり昨年は3回、今年も1回、練習試合を重ねた。「相手の雰囲気も選手は分かっている。自分たちの力を発揮しやすい相手だと思っています」。新井晶登監督(49)は、初の春4強という快進撃を見せる選手たちに信頼を置いていた。

 昨秋は静岡県大会8強でセンバツ21世紀枠の県推薦校に選出された。今春は県予選から本戦初戦まで4試合連続で無失点に抑えるなど、公式戦6試合でわずか3失点。4強の中では最も少ない。新チームになってからの安定した戦いぶりは、バッテリー抜きには語れない。

 投手は右の二枚看板、望月佑哉と鈴野佑月(ともに3年)。昨秋の県大会準々決勝で常葉大菊川に敗れて以降、望月はスライダーと直球主体から他の変化球の質を上げ、よりテンポのいい投球をするようになった。鈴野は時折見せる二段モーションで、打者にタイミングを取らせないスタイルを確立した。

 主将の亀田遼捕手(3年)が、タイプの異なる2投手をまとめる。昨秋から配球を見直し、大学やプロの試合映像で研究した。「前は三振を意識しすぎて、コース際ばかり狙っていました。今は思った通りに打たせて取れるようになってきた」。野手を含めて、チーム全体で守る試合運びを心がけている。

 1992年夏、創部4年目で甲子園の土を踏んでいるが、春は東海大会に出場したことがない。次のステージへ、あと1勝。常葉大菊川戦で2失点完投した望月は「ここまで来たら優勝しかない。先発したら完投する気持ちです」と言い切った。

「この春大会でやってきたことを出すだけ」と亀田。立て続けのジャイアントキリングで新たな扉を開く。

(伊藤 明日香)

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