各担当記者が推す選手を紹介する「推しえて」第6回は、西武・蛭間拓哉外野手(24)。22年ドラフト1位で入団も、3年連続の開幕2軍スタート。
22年ドラ1も、もうプロ3年目。1軍定着とはならず、3年連続開幕2軍スタートの中で苦悩の日々が続いている。
「もう毎日毎日バッティングフォームが違うというか、納得いってないのがずっと続いてる。毎日、本当に試行錯誤しすぎて、どれがいいという印象がないです」
2年目の昨季は5月10日に1軍に昇格すると、4試合でプロ初の4番を担った。4番では4試合で、16打数5安打で打率は3割1分3厘と結果を残した。
「(5月26日の)オリックス戦でマチャド投手からタイムリーを打ったんですけど、真っすぐをしっかりライナーで引っ張れたんで、そこはすごい手応えを感じた部分ではありますね」
しかし、約1か月後の6月に左手首痛で降格。7月15日に再昇格も、計63試合で打率2割2分、1本塁打、16打点に終わった。昨オフの自主トレはチームの大先輩・栗山の元を離れ、故郷・群馬と埼玉・所沢市の球団施設で敢行した。
「去年栗山さんとやって、見て学んで。やっぱり自分でしっかりやらないといけないなっていうのと、体としっかり見つめ合って、まずは体力がないなっていうのを感じて」
課題克服のため2拠点で別々の目標を立て、段階を踏んで取り組んだ。
「走り込みから始めてそこから体づくりをして、体重を増やして。所沢に帰ってきて、しっかり打ち込むことをテーマにずっとやってました」
増量は2年間のプロ生活から得た教訓からだ。
「(入団前は)87キロぐらいだったんですけど6キロくらい増やした。2年目で落としてどうなるかっていうのを試した。思ったより打球速度もそうですし、長打が減って、それじゃあ魅力ないなって。チームが勝つには何が必要かって言ったら、単打じゃなくて長打、そういう選手の方が『絶対使いたい』って思われる」
春季キャンプは2・3軍の高知・春野で過ごしたが、手応えも得た。
「バックスクリーンとかにも結構打てて、今までにない感覚で最初はすごい良かった。アピールして、とにかくレギュラー取るっていうのをずっと目標でやってました」
勢いそのままに3月9日まで静岡・草薙で行われた楽天2連戦では1軍にスポット参戦。しかし、4打数1安打1打点と大きなアピールはならなかった。
「上がってすぐ落ちるみたいな感じだった。正直悔しさはありましたけど、なんとか開幕1軍を目指してやることやろうって」
しかし、その目標はかなわなかった。2軍でもがく日々の中で支えてくれたのは、以前は怖そうに見えて近寄りがたかった先輩だった。
「(佐藤)龍世さんは質問したらめちゃくちゃ親身になって考えてくれて、詳しくいろいろ教えてくれる。最初は見た目的に、なかなか話せなかったんですけど、ロッカーとかも隣になってご飯も行ったりして」
助言を受けたことで新たな気づきもあった。
「言われたのは、『真っすぐをはじけない。前に打とう、前に打とうとし過ぎて結局、頭が突っ込んじゃって逆効果になってるから、蛭間が思ってるより詰まるし、差されるよ』と」
また、新たな取り組みとしてメジャーリーグでも流行しているピラティスにも挑戦。
「自分、腰が弱くて毎年けがをしてて。練習中でも痛くてちゃんとできないもあったんですけど、去年から取り入れて腰の痛みが全くなくなってきた」
チームは4月を貯金1の3位で終え、外野陣はドラフト2位ルーキー・渡部聖弥を筆頭に、西川、長谷川も好調だ。
「今の外野陣を見て、冷静に考えて全く勝ってない。とにかく打つしかないとすごい感じています。そのために取り組んでいる」
目標はもちろん一刻も早い1軍昇格だ。
「5月には絶対上がって、そこからずっと居続けるのが大切だと思う。しっかり1軍に行って活躍できるように、今を無駄にしないようにしています」
1軍の本塁打はリーグワーストの8本と長距離砲不足が顕著な西武。蛭間が必要とされる日は必ず来る。
◆蛭間 拓哉(ひるま・たくや)2000年9月8日、群馬県生まれ。24歳。浦和学院では3年夏に甲子園出場で高校通算28本塁打。渡辺勇太朗投手(西武)とは同級生。早大では六大学通算13本塁打。22年ドラフト1位で西武入団。177センチ、87キロ。左投左打。今季年俸2400万円。