◆JERAセ・リーグ 阪神7―1ヤクルト(3日・甲子園)

 グラウンドの一番高いところで大笑いした。阪神のジョン・デュプランティエ投手(30)は最後まで主役であり続けた。

6回4安打無失点で来日初勝利。初のお立ち台で「ゴイゴイスー」とお笑いコンビ「ダイアン」の津田の持ちネタを披露し「チームメートに教えてもらった。初勝利まで温めてきた」と打ち明けた。

 虎のドクターKと言っていい。22回を投げ28奪三振。奪三振率は規定投球回未達ながら11・45。リーグトップのケイ(DeNA)の9・33を大きく引き離す。ただ、長所に固執しないのも魅力の一つ。この日は打たせて取る投球で3奪三振にとどまったが「僕たちが三振を取りにくると思っていることを利用した」とニヤリ。節目の白星をつかみ「本当にうれしい」とかみしめた。

 英教育専門誌が発表した「世界大学ランキング2025」で東北大(120位)や大阪大(162位)より上位の名門・ライス大(112位)出身。野球選手でなければ「歯医者さんになっていた」と明かす秀才だ。

日本語の習得にも熱心で、今では覚えた言葉で周囲を笑わせる。小学低学年から高校まではアメリカンフットボールと野球の二刀流。QBで地区大会3連覇した経歴を持ち「アメフトは一人一人の役割を遂行することが大事。野球も同じ」と今に生きる。

 チームは連勝で巨人と並ぶ首位に浮上。藤川監督は新助っ人を「日本で成功するために丁寧に丁寧に、練習する選手。非常にこの先、楽しみにしています」と高く評価した。大きいのは首脳陣からの期待だけでなく、足のサイズは驚異の33センチ。日本の規格でこのサイズのシューズはめったになく、米国から持ち込んでいるという。「これが最後にならないように」と、さらなる活躍を誓った男の愛称は「デュープ」。異国の地で文字通り大きな一歩を踏み出した。(直川 響)

 ◆ジョン・デュプランティエ(Jon Duplantier)1994年7月11日、米国生まれ。

30歳。16年ドラフト3巡目(全体89番目)でDバックス入り。メジャーデビューした19年は15試合に登板(3先発)して1勝1敗、21年は4試合すべて先発して0勝3敗で、その後、メジャー昇格なし。昨季はドジャース、メッツの3Aなどでプレー。193センチ、103キロ。右投左打。

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