◆東京六大学野球春季リーグ戦第4週第2日▽慶大―東大(4日・神宮)

 東京六大学野球の100周年記念イベント、レジェンド始球式に、東大OBの平野裕一氏(71)が登場。気迫あふれる一球を投じ、神宮の杜は拍手に包まれた。

投球はワンバウンドになりながらも、勢いのあるストレート。「ワンバウンドになったのが悔やまれる」とこぼしたが、神宮の舞台に立つのは東大監督を務めた96年以来、約29年ぶり。久々となる地での大舞台を終え、晴れやかな笑顔を浮かべた。

 平野氏は78年に東大を卒業すると、81年から東大野球を青年監督としてけん引し、就任1年目にして春季リーグで6勝を挙げ、勝ち点2の4位。シーズン6勝は「赤門旋風」と呼ばれ、現在もなお東大史上最高記録として残る。その時の主将が現在指揮官を務める大久保裕監督(67)だ。

 ひときわ青く輝くグラブを手にしていた。「還暦になった時に、教え子たちにプレゼントしてもらった」。刺しゅう部分には「TOKYO」の文字が。現在の東大野球に関して聞かれると「(自身が監督を務めていた時と比べても)遜色なくいいチーム」と語り、「どこかで思い切りのいいプレーをすれば、勝ちにつながってくる」と現役生にエールを送った。

 笑顔を浮かべてマウンドを去った平野氏。渾身の一球は、母校だけでなく、両校への力強いエールとなった。

(北村 優衣)

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