◆パ・リーグ 日本ハム3―2西武(4日・エスコンフィールド)
イメージ通りのボールと意図した結果に、日本ハム・達孝太投手(21)は胸を張ってマウンドを降りた。5回1死二塁、まずは古賀悠をアウトロー真っすぐで見逃し三振。
21年ドラ1右腕がファームでの成果を見せた。序盤は最速153キロの角度ある真っすぐで押したが、イニングが進むとスライダー、フォークでカウントを整えた。一つ一つの変化球を磨くことは、自らに課してきたテーマだった。プロ4年目。「1軍に上がる時は15勝できる実力をつけて」と語ってきた男は、「大きくステップアップすることなく、階段を1段ずつ上がってるイメージ」と地道に力をつけてきた。
新庄監督からのメッセージにも応えた。1軍スタートも2軍に合流したキャンプ中盤、SNSのダイレクトメッセージで「スライダーでカウントを取れるようにしてほしい」と伝えられた。初回の初球、スライダーでストライクを取るなど無四球のピッチング。
新庄監督は「めちゃくちゃ成長してますよ。頼もしく感じましたね。目がいいじゃないですか(笑)」と若きイケメン右腕を絶賛。加藤投手コーチも「文句なし。達の出現で、今は頭真っ白です」とローテ再編にうれしい悲鳴を上げた。予定通り一度抹消されるが、次回登板ももぎ取った達。充実の先発陣に、実力で風穴を開ける。(山口 泰史)
◆菊池雄星との食事で“限界突破”
達は昨年12月、単身で海を渡り米アリゾナで約2週間の自主トレを行った。ドライブラインで投球技術を学ぶと同時に、トレーニングや治療系の別の施設も訪れるなど、300万円以上の自費をかけての武者修行。「真っすぐの出力の部分は確実にある」と成果を実感している。
ただ、それ以上に価値があったと感じているのは人との出会い。
印象に残っているのは「1球160キロを投げられるなら、100球投げられると思った方がいい」という言葉。普通は最速160キロでもアベレージは5、6キロは低くなるもの。「気持ちの問題ですかね。天井を決めるなと。そういう考えはできていなかった」。伸び盛りの21歳。広がった視野の先に、“限界”という言葉はない。