◆春季高校野球静岡大会決勝 聖隷クリストファー3―0桐陽(5日・草薙)
聖隷クリストファーが桐陽を3―0で破り、1985年の創部以来、初の春季大会優勝を果たした。先発した上田一心(いっさ)投手(3年)が公式戦初完封。
背番号10を背負う上田が躍動した。「まだ自分でも実感がわきません」。4安打2四死球の力投。2回に押し出し死球で先制点をもらうと、7回に渡部哉斗(かなと)一塁手(3年)が左中間を破る2点三塁打を放つまで1点差だった接戦を制した。公式戦初完封に「自分にとって大きな自信につながりました」と笑顔。上村敏正監督は「よく投げてくれた。けれども本当は、このぐらいのことはできなきゃいけない」と、あえて厳しい言葉で期待の高さをにじませた。
チームには県内屈指の左腕として注目を集める高部陸投手(2年)がおり、東海大会切符がかかった3日の準決勝・磐田南戦(3〇2)でも完投していた。昨秋は県大会から東海大会準々決勝で至学館(愛知)に敗れるまで全7試合で高部が完投。1学年下のエース左腕頼りの状況を見守ることしかできなかった。
冬場はウェートトレーニングに励み、昨春124キロだった最速は、この日出した138キロまでアップ。打者の手元で動く直球に磨きをかけて、練習試合では高部との2枚看板として成長を遂げてきた。今春は県予選3試合中2試合で登板し、本戦では準々決勝・御殿場西戦(5〇1)に2番手で3回無失点の好投を見せていた。
新たな柱が加わったことで、チームの戦力はより厚みを増した。指揮官は夏に向けて「大きいと思います」と話す。上田は「とにかくこのまま練習を頑張り続けて、東海(大会)は元気よく楽しんで投げられたら」と意気込んだ。(伊藤 明日香)