◆JERA セ・リーグ 巨人1ー10阪神(5日・東京ドーム)
不振による2軍調整から復帰した巨人・戸郷翔征投手(25)が、阪神戦で復調の兆しを見せた。24日ぶりの1軍登板は6回3失点で3敗目を喫したが、最速152キロをマーク。
生還する走者を横目に、戸郷は静かにうなずいた。同点の6回2死三塁、中野に三塁への勝ち越し内野安打を献上。4回に同点ソロを浴びた森下にも右前適時打を許した。今季最長の6回を投げ、5安打3失点(自責2)で3敗目。「反省はあるし、チームを勝たせられなかったことについてはよくない」と反省した一方で、「いい材料はあった」と手応えも口にした。
力強い直球が復調の兆しだった。試合前まで今季は3登板で0勝2敗、防御率11・12。2軍調整を経て、3回1/3を10安打10失点と崩れた4月11日の広島戦(マツダ)以来の1軍マウンドで、以前との変化を示した。初回は直球9球のうち8球が150キロ台で、最速152キロ。
82球中46球と直球の割合を増やし、平均149・5キロ。5奪三振と持ち味が戻りつつあった。早くなっていた体の開きを見直し、3回3失点だった4月4日の同カードで平均144・9キロだった球速が大幅にアップ。「そんなに腕も振らなかったし、その中であれだけ球速も出て、三振も取れて手応えはあった」と3、4月との違いを実感した。
こんがり焼けた肌で帰ってきた。2軍では久保巡回投手コーチや桑田2軍監督とフォームの修正を行い、直球や癖も見直した。開幕前から「状態はいい」と語る一方、マウンドで表現できないギャップに悩んだ。ただ、もがきながらも、前向きに課題と向き合えた。「相当、(野球が)好きなんだと思う。好きじゃなきゃこんなに苦しまない。この業種を愛しているからこそ悩む」。
今季オリオールズに移籍した菅野には自ら連絡。ファームからの帰り道に通話した。「『終わってみればそんなこともあったな』って思える成績を残せるよう頑張ればいい」―。エースとしてマウンドに立ち続けた菅野の言葉に背中を押された。
本拠地で浴びた大歓声に身震いした。「東京ドームで投げる喜びも改めて感じ、歓声のもらい方も感動した。勝ちたかったけど、いい流れでいけたことは間違いないので次の試合は楽しみだと思う」。帰りを待ちわびてくれていたファンのためにも、完全復活への道を進む。(水上 智恵)