◆JERA セ・リーグ 巨人1ー10阪神(5日・東京ドーム)

 3点取られはしたけど、戸郷の状態は上向きと思うよ。明確に変わったのは真っすぐ。

不調時には145キロくらいだったのがウソのように150キロを連発していた。2軍調整は成果があったということやね。初回の森下の併殺打なんかは、ほぼど真ん中やったけど、力があるから押し込めた。

 戸郷の生命線は真っすぐ。これは得意球がフォークの投手全般に言えることやけどね。キレ、力がないと同じような軌道からストンと落ちるフォークにつられてくれない。真っすぐに力があるからこそ、ワンバウンドするような球でも手を出してくれる。切っても切り離せない関係よ。これまでの3試合はいずれも2つだけだった三振も5つ奪って、うち真っすぐが3つ。出力が上がっている証拠よ。

 ただ、まだまだ物足りない。開幕戦を任されたエースやから。

あとは勝負どころの精度。コントロールやね。全体的に逆球が多かったし、2点を取られた6回の内野安打2本は確かに不運だったかもしれん。でも、森下のタイムリー、佐藤輝の二塁打を打たれた球はともにちょっと高かった。捕手はもっと低めを要求していたはずよ。特に森下に打たれた外角のボール球のスライダー。相手が見事ではあるけど、高さが中途半端やからバットが届いてしまった。

 昨年までバッテリーを組んでいた大城卓にマスクをかぶらせたのも首脳陣の親心やったと思う。調子のいい伊織、井上に加えて、戸郷とグリフィンが本来の力を出してくれることが混戦を抜け出すカギ。まだ「長いイニングを」なんて考える必要はないから、完全復調へ課題を一つ一つ、つぶしていってほしいね。(スポーツ報知評論家・村田 真一)

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