◆米大リーグ マーリンズ4―7ドジャース(5日、米フロリダ州マイアミ=ローンデポパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が5日(日本時間6日)、228日ぶりの“凱旋試合”で再びアーチを描いた。敵地・マーリンズ戦に「1番・DH」で先発出場。

昨年9月に前人未到の「50―50」(50本塁打、50盗塁)を達成した“伝説の一戦”以来のローンデポパークで9号2ラン、10盗塁目を同時に記録し、23年WBCでも頂点に立った「本当に好きな球場」での一発から勢いに乗っていく。

 ローンデポパークは大谷のためにあるのか。伝説の地・マイアミが再び騒然とした。3点リードの5回無死二塁。22年のサイ・ヤング賞右腕、アルカンタラの97・7マイル(約157・6キロ)直球を捉えた。「素晴らしい投手から打てたのは自信になるんじゃないかなと思います」。本塁打ではMLB全体で今季最速の打球速度117・9マイル(約189・7キロ)の弾丸ライナーで右翼の自軍ブルペンにぶち込んだ。2試合ぶりの9号2ラン。6日前にパパ1号を浴びせた相手を再び、打ち砕いた。

 自身の本塁打では今季最も低い角度20度。グラブで直接捕球したのは球団スタッフで理学療法士のJ・アーブ氏だ。何度も雄たけびを上げ、喜びを爆発させた。

二塁から生還した金慧成(キム・ヘソン)にとってはメジャー初得点。大谷は同じ代理人事務所「CAA」所属で、初安打でチャンスをつくってくれた後輩をベンチ内で待ち受け、何度もジャンプしながら祝福した。

 マイアミでの試合は昨年9月19日(同20日)以来、228日ぶり。6打数6安打3本塁打10打点2盗塁で、「50―50」どころか「51―51」を成し遂げ、トランプ大統領も絶賛した伝説の一戦だ。23年にはWBCで世界一の胴上げ投手にもなっている。縁のある球場で、この日も3回には5年連続7度目の2ケタとなる10盗塁目。昨年のワールドシリーズで脱臼した左肩の影響を感じさせない、左手を地面に触れるスライディングで、またも本塁打と盗塁をダブルマークし「本当にいい思い出が多いかなと。昨年もそうでしたし、WBCも含めて、本当に好きな球場の一つ。今日もいい試合だったなと思います」。来年3月のWBCでも準々決勝から使用する舞台となるだけに、頼もしい限りだ。

 試合前に「彼にとって、ここはいつまでも特別な場所になると思う」と話していたロバーツ監督。試合後は「驚かなかったよ」と大谷の爆発を予想していたようだった。

チームが35戦目での9号は昨年より1試合早いが、大谷は「(好調時に)近づいてきてはいる」としながらも「例年、この時期に一番いい状態になることはあまりないので」とサラリと言い放った。現地5月5日はメキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ」。ラテン系の多いマイアミの街はにぎわっていたが、一番の盛り上がりを生み出したのは大谷の一振りだった。(中村 晃大)

 ◆大谷の打球速度と角度 これまでの最速は昨年4月27日の敵地ブルージェイズ戦で菊池から放った右前打の119.2マイル(約191.8キロ)。本塁打では昨年4月23日敵地・ナショナルズ戦と7月27日敵地・アストロズ戦の118.7マイル(約191.0キロ)が最速。メジャー234発でこの日のは5番目の速さとなった。また、打球角度20度の本塁打は今季最小。これまでの最小はエンゼルス時代の21年6月18日本拠地・タイガース戦など2試合でマークした18度で大谷のメジャーでの本塁打の平均は28.8度だ。

 ◆大谷のマイアミ伝説 初めてマイアミ・ローンデポパークの試合に出場したのは22年。2試合目の7月6日には先発登板して7回2安打1失点(自責0)、10奪三振の快投で勝利投手。バットでも4打数1安打2打点、1盗塁。メジャーで10奪三振、2打点、1盗塁をマークしたのは1920年以降で初だった。

23年WBCでは準決勝、決勝を戦った。決勝の米国戦では「3番・DH」でスタメン出場。さらに9回にはマウンドに上がって試合を締めくくった。昨年9月19日には3打席連続本塁打など6打数6安打10打点、2盗塁。史上初の「50―50」を達成し、自身初のポストシーズン進出も決めた。

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