◆第73回京都新聞杯・G2(5月10日、京都競馬場・芝2200メートル)
第73回京都新聞杯・G2(10日、京都)は、どの馬も日本ダービー・G1(6月1日、東京)に向けた勝負駆けの一戦。ここで賞金加算をして大舞台への出走を確実にするのは、どの馬か。
今年は桜花賞で森一厩舎、皐月賞で高柳大厩舎が、クラシック初勝利を挙げた。勢いある厩舎の台頭が目立つ。ただ、京都新聞杯は日本ダービー出走確定馬が不在の名門厩舎による譲れない戦いが熱いと感じる。
賞金を加算しないと、現時点で祭典には届かない馬ばかりの一戦。そのなかでも池江厩舎のエムズは2勝馬で、2着なら出走は“当確”。しかし、池江調教師は言う。「行くなら、勝っていきたい」。強気な言葉は確かな成長に手応えがあるからこそだ。初戦から距離を1ハロン延ばした前走の大寒桜賞では3馬身半差の完勝。11年にオルフェーヴルでダービーを勝っている池江師は「折り合いも大丈夫。2400メートルもいけるんじゃないかな」と先を見据える。
一方、1勝馬は勝利が“絶対条件”だ。現役最多のダービー3勝を誇る友道厩舎はショウヘイがスタンバイ。「前走時より、もたれる面は良くなっているし、筋肉の張りなどを、レースまでにもう一段上げれば」と大江助手は力を込める。ダービー2勝の矢作厩舎はキングスコールが皐月賞7着からの巻き返しを狙う。「一戦ごとに良くなっている。勝たないといけないからプレッシャーだね」と田代厩務員は確かな上積みを感じている。
すべての馬が勝負駆け。だからこそ、大一番を知り尽くす名門厩舎の存在が不気味で仕方ない。(山本 武志)