◆大相撲夏場所3日目(13日、東京・両国国技館)

 昨年の春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした東前頭4枚目・尊富士が、無傷の3連勝。西同4枚目の一山本を2秒4で押し出した。

直前の取組で同じく3連勝を飾った伊勢ケ浜部屋の弟弟子、東同7枚目・伯桜鵬から力水をもらい、圧倒した。全勝は綱取りに挑む大関・大の里、関脇・大栄翔、西前頭筆頭・王鵬ら7人となった。

 弟弟子の力水に、気合がみなぎった。尊富士は立ち合いで低く当たると、力強い突きで一気に前へ。一山本の引きにも動じず押し出した。2秒4の速攻に「狙いがあったわけではなく、とっさに反応できた」と胸を張った。2場所ぶりの無傷3連勝も「まだ最初(序盤)なんでわからない」と浮かれた様子はなかった。

 直前の取組では、弟弟子で鳥取城北高の後輩でもある伯桜鵬が3連勝を飾った。土俵で力水を受けると、「良い相撲を取っている。自分も負けじという気持ちで稽古しているので」と刺激を受けた。実は国技館入りする黒い着物も伯桜鵬からもらったもの。弟弟子のしこ名が入っているが、「着させられているんですよ」と笑った。

 今場所のパワーの源はひきわり納豆だ。「無理して食べてストレスを感じるより、おいしいものを食べる」。故郷の青森など北東北では特に親しまれ、幼少期からの大好物。「白いご飯も好きだけど、(ひきわりの)納豆ご飯を食べると粘り強くなれるんです」と験を担ぐ。「“匂いもの”が好き」と香りも楽しみ、体調維持に努める。

 大の巨人ファンでもある。岡本和真内野手が負傷離脱したことには支度部屋でも「今、4番がいないですから」と心配顔だったが、リチャード内野手が、ソフトバンクからトレード加入したことを歓迎。さらに、リチャードが同じ99年生まれであることを知らされると「そうなんですか」と親近感を抱いた。昨年春場所で新入幕優勝後に右足のけがなどで休場し、十両に転落。懸命なリハビリと猛稽古を続け、今場所は自己最高位の前頭4枚目だ。目標の三役昇進へ、粘り強く白星を重ねていく。(山田 豊)

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