◆大相撲夏場所3日目(13日、東京・両国国技館)

 西前頭筆頭・王鵬(25)=大嶽=が横綱・豊昇龍(25)=立浪=をはたき込んで、昨年3月の春場所以来、自身2個目の金星を挙げた。初場所の優勝決定ともえ戦で敗れ、同級生で同期でもあるライバルにリベンジを果たした。

これで結びの一番は8戦7勝。祖父で昭和の大横綱・大鵬が守ってきた舞台で、無類の強さを発揮している。

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 安易な張り差しではなく、頭から当たった豊昇龍の立ち合いは王鵬を意識したものだった。だが、王鵬の低く鋭い弾丸のような立ち合いがそれを上回った。突き放して豊昇龍の体を起こすと再び左右の突きで主導権を握った。最後は豊昇龍の足がそろったところを“合掌ひねり”のようなはたき込み。足腰の良さには定評がある豊昇龍も残す力がなかった。

 今場所の王鵬は攻めて良し、受けて良しの“二刀流”だ。両方の動きを支えているのが土台の強さ。強烈な立ち合い。左右の突き押し。そして粘り強さ。

土台がしっかりしているから全てに威力がある。

 4日目には大の里との一番が組まれた。まだ3日目だが、押し相撲は勢いに乗ると怖い。しかも大の里は2日目は引き技、3日目は阿炎ののど輪で天井を向いてしまった。王鵬の下からの突き押しに“毒まんじゅう”の引き技で逃げようとすると墓穴を掘る。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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