◆大相撲夏場所3日目(13日、東京・両国国技館)
西前頭筆頭・王鵬(25)=大嶽=が横綱・豊昇龍(25)=立浪=をはたき込んで、昨年3月の春場所以来、自身2個目の金星を挙げた。初場所の優勝決定ともえ戦で敗れ、同学年で同期でもあるライバルにリベンジを果たした。
勝負を決めても表情を大きくは変えなかった。王鵬が、ふっと息を吐きながら懸賞の束を受け取った。横綱・豊昇龍との結びの一番。立ち合いからお互い力強く踏み込んで、激しい突っ張り合いに。「そのまま攻め込めるのが一番だが、戻りの速さはさすが横綱。それでも、いい感じで動けた」。押し込まれかけた横綱が体勢を立て直そうと、低姿勢になった瞬間を見逃さず、冷静にはたき込んだ。支度部屋では「自分の中では立ち合いの重さも角度も良かった」とうなずいた。
結びの一番で無類の強さを発揮する。この日の勝利で結びの通算成績は8戦7勝。一日で最も声援を浴び、プレッシャーのかかる最後の一番にも「最後のメインでお客さんが一番楽しみにされている取組だと思う。みっともない、しょうもない相撲は取れないと思って相撲を取っているので、嫌な感じはない」。さらに「相撲を取る時間が決まっているので、調整しやすさはある」と、祖父譲りの強心臓ぶりだ。
宿敵に雪辱した。豊昇龍は同学年で高校時代から互いを意識し、同じ18年初場所で初土俵を踏んだ。同場所の前相撲から対戦。通算の対戦成績は6勝5敗と拮抗(きっこう)し、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。今年1月の初場所では12勝3敗で優勝決定ともえ戦に進み、先勝していた豊昇龍に寄り倒しで敗れた。雪辱の一戦にも「前は前。今日は今日。
新三役で関脇として臨んだ先場所は6勝9敗と負け越し、今場所は平幕に降下。「星数でははね返されていたが、自分でははね返されたと思っていない。(三役昇進も)まだ途中で達成感もない。しっかり上を目指していきたい」と三役復帰、そしてさらなる高みへの挑戦に燃えている。
初日の大関・琴桜戦に続く殊勲星で無傷3連勝。「これ以上ない滑り出し。このままの状態で続けていければ」と話した。八角理事長(元横綱・北勝海)も「当たり負けしなかった。王鵬は化ける感じがする」と大きな期待を寄せる。4日目は今場所綱取りに挑んでいる大関・大の里戦。
◆王鵬の結び 結びの通算成績は8戦7勝。初めては24年春場所の横綱・照ノ富士戦。横綱初挑戦で金星を挙げ、祖父・大鵬、父の元関脇・貴闘力と合わせ、初の“3世代金星”となった。翌夏場所では2大関を撃破。先場所は13日目に優勝を争っていた大関・大の里を押し出しで下した。