◆大相撲夏場所5日目(15日、東京・両国国技館)
関脇・大栄翔が無傷の5連勝とした。西前頭筆頭・王鵬を突き出しで退けた。
三役で直近2場所20勝を挙げており、初夏の快進撃で大関昇進への機運を高めていく。横綱・豊昇龍は西前頭2枚目・豪ノ山を上手出し投げで下し連敗を止め、3勝目。両大関は、初の綱取りに挑む大の里が東前頭3枚目・玉鷲を寄り切って5連勝。琴桜も白星を先行させた。全勝は大の里と大栄翔、平幕の伯桜鵬と錦木の4人となった。
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序盤に3連敗でもしたら新聞やテレビは“休場ピンチ”と騒ぎ立てていただろう。豊昇龍は豪ノ山を相手に負けない相撲を取った。立ち合いは右から張って豪ノ山の動きを止めて上手出し投げで勝負を決めた。強かったという印象はない。安全に必死に、なんとか勝ったという一番だった。
負けたくないという気持ちが強かった。“横綱相撲”にこだわり、圧倒的な強さを求めていたために自分の相撲を見失っていたのかもしれない。
前に落ちた2敗はいただけなかったが、原因は明白。相手の突き押しを受け、上体が伸びて踏ん張った時に足がそろっていた。ムキになって相手の当たりを受け止める必要もない。強引に相手をぶん投げてもいいんだ。豊昇龍は自分らしい相撲で白星を重ねていけばいい。そういう意味で、仕切り直しの白星はいい薬になった。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)