卓球の世界選手権個人戦は17日にカタール・ドーハで開幕する。2021年東京五輪で混合ダブルス金、女子団体銀、シングルス銅と3つのメダルを手にした伊藤美誠(24)=スターツ=がスポーツ報知の単独取材に応じ、団体戦を含めて自身10度目の世界選手権での目標に「シングルスでメダル」と掲げた。
伊藤の目に自信が宿った。自身10度目の世界選手権では、女子シングルスで高い目標を見つめた。17日の世界ランク145位のブリアナ・ブルゴス(プエルトリコ)との初戦から登場する。
「大きな目標は金メダルだけど、シングルスではまだメダルを取ったことがない。ずっと口にしてきた目標をかなえたい。自分の手でつかみ取りたい」
かつて“王国”中国のメディアに「大魔王」と呼ばれた24歳が節目の大会で、17年銅の平野美宇、23年銅の早田ひならに続く快挙を狙う。
原点回帰が浮上へのカギだ。武器の独創的なプレーを生かし、東京五輪混合ダブルスで日本卓球史上初の金。だが、「東京で優勝するために(普遍的なプレーと)どっちも大事だと思った。でもその分、自分らしさを出したい時に出しづらくなっていた。今のままでは(進化が)止まっちゃう」。
「世界一」に向け、何が必要か―。選考後に自分の卓球と向き合った。「皆ができないプレーを昔から(意識して)やってきた。やっぱりそれが勝ちに一番つながる。自分らしいプレーが一番大事」と原点に返った。相手が予想しない変化を効かせたサーブやスマッシュ、相手の返球に「タタン」と速いリズムで打ち返す技術など「相手の(返球の)質も下がるので、速く攻めるのも大事。相手の雰囲気を感じながら(変化させて)プレーするのが自分らしい」。4月のW杯では準々決勝で直近2連敗していた大藤(おおどう)沙月を4―2で撃退。世界ランク5位の左利きの新星、クアイ曼(かいばん、中国)には3―4で惜敗したが、5年ぶりの銅メダルで世界卓球へ弾みがついた。
中国・蘇州での15年大会に14歳で初出場し、8強の快進撃から10年。
◆伊藤 美誠(いとう・みま)2000年10月21日、静岡・磐田市生まれ。24歳。2歳で卓球を始める。世界選手権は団体で銀4、女子ダブルスで銀2、銅1。五輪は16年リオから2大会連続出場。リオ大会は女子団体で史上最年少の15歳300日で銅メダル。水谷隼と組んだ21年東京五輪混合複では、日本卓球史上初の金メダル。全日本選手権は女子単で3度V。世界ランク9位。
◆伊藤の対戦予想 17日に世界ランク145位のブルゴスと1回戦。以降はともに勝ち上がれば3回戦で変則ラバーを操るスリージャ・アクラ(インド)、4回戦は21年東京五輪混合ダブルス銅メダルで世界ランク11位の難敵・鄭怡静(台湾)に。メダルが懸かる準々決勝は世界ランク4位の強敵・王芸迪(中国)が立ちはだかりそうだ。