【東京・芝1600mとも相性がいい血を持つのは?】

 5月18日(日)、東京競馬場で4歳以上の牝馬によるGⅠヴィクトリアマイル(芝1600m)が行なわれる。

 今年のメンバーは、昨年のGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)馬ステレンボッシュ、一昨年のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を勝ったアスコリピチェーノ、GⅡ金鯱賞(中京・芝2000m)を勝ったクイーンズウォーク、GⅡ阪神牝馬S(阪神・芝1600m)を勝ったサフィラなど、新旧の活躍馬が集結。混戦が予想される。

 このレースを血統的視点から占っていこう。今回は、"マイルGⅠに強い血統"をテーマに考えてみたが、このテーマで筆者が本命に推すのはソーダズリング(牝5歳、栗東・新谷功一厩舎)だ。

【競馬予想】ヴィクトリアマイルで狙うべき「マイルGⅠに強い血...の画像はこちら >>
 同馬は、兄姉にGⅢ愛知杯(中京・芝2000m)を勝ったマジックキャッスル、GⅢチャレンジC(阪神・芝2000m)を連覇したソーヴァリアントと、2頭の重賞勝ち馬を持つ良血。マジックキャッスルは、2021年のヴィクトリアマイルで3着に入っている。

 その年のレースは、圧倒的人気だったグランアレグリアが4馬身差で圧勝したが、マジックキャッスルは2着のランブリングアレーと同タイムのクビ差という僅差だった。さらに母ソーマジックは、2008年の桜花賞で3着と、母仔で牝馬のマイルGⅠに実績がある。

 父ハーツクライの産駒は最近では中長距離タイプが多いが、GⅠ安田記念(東京・芝1600m)を制したジャスタウェイ、GⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)を制したサリオスとドウデュースと、マイルGⅠ馬も3頭いる。2018年のヴィクトリアマイルでは、リスグラシューが2着に入った。

 特に牝馬のマイル適性が高くなる傾向があり、牝馬による重賞20勝のうち10勝がマイル戦でのもの。牡馬の重賞勝ちの最多勝距離は2000mなので、マイル戦では牝馬のほうが期待度が高まる血統だ。

 母の父シンボリクリスエスもマイルGⅠに実績がある。同じく母の父にこの血を持つソングラインは、2023年のヴィクトリアマイルの勝ち馬で、同じコースの安田記念も2022、23年と連覇している。

さらに、昨年の勝ち馬テンハッピーローズの父(エピファネイア)の父がシンボリクリスエスと、「東京・芝1600m」のGⅠと相性のいい血脈だ。

 ソーダズリングの戦歴を振り返ってみよう。重賞は昨年のGⅢ京都牝馬S(京都・芝1400m)の1勝だが、距離適性は幅広く、1600mと1800mで勝利し、東京・芝2000mのGⅡフローラSで2着。コース適性があるのも心強い。

 マイル戦は3勝クラスの三年坂S(京都・芝1600m)の1勝だが、そのレースでの上がり3F32秒8という瞬発力を見せての差し切りは、1/2馬身をつけた着差以上の余裕があった。今年に入ってからはGⅢ阪急杯(京都・芝1400m)で0秒2差の3着、GⅡ阪神牝馬S(阪神・芝1600m)で0秒3差の6着と大きく負けておらず、展開が向けばここでも上位争いは可能だろう。

【もう1頭は復調気配の5歳馬】

 もう1頭はラヴェル(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)を推す。同馬は1歳上の半姉ナミュールがGⅠマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)の勝ち馬で、東京マイル戦でもGⅡ富士Sを勝利。曽祖母キョウエイマーチは桜花賞馬だ。

 ラヴェル自身、マイル&東京コースの適性が高い。デビュー2戦目でリバティアイランドを破ったGⅢアルテミスSも東京・芝1600mで、GⅠオークス(東京・芝2400m)では4着に入っている。2歳時のアルテミスS以来、不振が続いていたが、4歳秋を迎えた昨年は、GⅠエリザベス女王杯(京都・芝2200m)で12番人気ながら2着。

GⅢチャレンジC(京都・芝2000m)では2年1カ月ぶりの勝利と復調した。

 姉ナミュールも4歳秋のマイルチャンピオンシップでGⅠ初制覇を飾り、5歳春にはGⅠドバイターフ(メイダン・芝1800m)、安田記念で2着に入るなどすばらしいパフォーマンスを見せていた。ラヴェルは今年に入ってから金鯱賞9着、GⅠ大阪杯(阪神・芝2000m)11着と大敗が続いているが、大阪杯は牡馬のトップクラスが揃い相手が強く、金鯱賞は重馬場と、はっきりとした敗因がある。実績あるこのコースでの牝馬限定戦なら好走は可能だろう。

 以上、今年のヴィクトリアマイルはソーダズリング、ラヴェルと、マイルGⅠに強い牝系出身の2頭に期待する。

編集部おすすめ