俳優の吉沢亮が17日(現地時間)、主演映画「国宝」(李相日監督、6月6日)が監督週間に出品された第78回カンヌ国際映画祭に出席するため、南フランスのカンヌに渡辺謙、横浜流星らと到着。晴れ渡る空の下、ビーチを前に街の印象や翌日の公式上映に向けて、心境を語った。
吉沢は映画祭の高揚感に触れて「カンヌは海が近くて、映画祭に向けて活気も熱量高くて、すごく素敵な街だなと思います」と上機嫌。公式上映に向けて「日本の文化である歌舞伎を通して、この『国宝』という作品を海外の皆様にどのように受け止めてもらえるかとても気になります。反応が楽しみでもあり、不安でもありますね」と声を弾ませた。
横浜はカンヌについて「芸術あふれる街で美しくて、リゾートの雰囲気も下町のような雰囲気もあって、色んな表情がある町だなと思います」。世界の映画人に「国宝」をお披露目することは「フランスでは歌舞伎をはじめ浮世絵など、日本の文化に興味をお持ちの方が多いと思うので、日本が誇る伝統芸能である歌舞伎を題材とした作品を、見てくださった方がどのように感じてくださるのかがすごく楽しみです」と期待に胸を膨らませた。
これまで多くの映画祭を経験している渡辺は「カンヌで映画祭はコンプリートになりますが、みんなで集中して映画を盛り上げていこうという雰囲気があって、やっぱり素敵だなと思いますね」と笑顔。「僕たちが描きたかったことに関する質問が来ているので、海外の皆様にも伝わると思っています。ただ、一般のお客様がどういう風に感じるかはすごく楽しみです」と自信と希望に満ちた思いを語った。
李監督は「今の映画界でトップを走っている俳優たちが勢ぞろいして、日本の伝統芸能を題材にした作品に取り組むという、エンターテイメント性と作品性の両方を持っている作品がカンヌに選出されたということはすごいことですし、どう見られるかがとても気になります」と期待感を口にした。一方で「明日の公式上映は、作り手にとっては重圧で、なかなかタフな時間になると思います」と気を引き締めた。
カンヌ映画祭の監督週間は、自由な発想や新しい表現で作家性を持つ監督の作品が選出される。過去にはケン・ローチ、ジム・ジャームッシュ、スパイク・リー、ソフィア・コッポラ、アトム・エゴヤン、グザヴィエ・ドラン、日本からは大島渚監督、北野武監督、黒沢清監督などの作品が上映されている。
◆「国宝」 任侠(にんきょう)の家に生まれながら、上方歌舞伎の大物俳優・花井半二郎(渡辺)に引き取られ、女形の花井東一郎として芸の道に人生をささげる立花喜久雄(吉沢)の壮大な一代記。喜久雄は半二郎の息子・花井半弥(大垣俊介=横浜)と切磋琢磨(せっさたくま)していく。血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り、もがき苦しむ壮絶な人生の先にある感涙と熱狂を描く。2時間55分。