◆大相撲▽夏場所8日目(18日、東京・両国国技館)

 初の綱取りに挑む大関・大の里が、西前頭3枚目の平戸海を一方的に押し出して8連勝。勝ち越しを決め、単独首位に立った。

全勝ターンは優勝した昨年秋場所以来。年6場所制となった1958年以降では初めての初土俵から全場所勝ち越しでの横綱昇進へ突き進む。東前頭7枚目・伯桜鵬は、東前頭10枚目・明生に敗れ、初黒星を喫した。大の里を1差で若隆景、伯桜鵬、安青錦の3人が追う。

 圧倒した。大の里は平戸海の突進を受け止め、突いて前に出ると2秒9で押し出した。「相手がしっかり見えていた。まだ明日があるんで続けたい」。2度目の優勝を果たした昨年秋場所以来となるストレートでの給金直し。伯桜鵬が敗れ、今場所初めて単独首位に立ったが、「まだ半分ある。目の前の一番に集中する」と浮かれなかった。

 不調を指摘された稽古総見(2日)の翌日、休み返上で境川部屋へ約2時間かけて出稽古に出向いた。

その時、相手をしたのが同学年の平戸海だった。約20番取り、復調のきっかけをつかんで今場所に入ることができた。恩返しの白星に「良かった」と振り返った。

 横綱審議委員会の推薦内規は「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」。先場所を制し、連勝街道を走る大の里の評価が高まる一方だ。幕内後半戦の九重親方(元大関・千代大海)は「強い。止める力士がいるのか。誰が止めるのだろう」とうなり、八角理事長(元横綱・北勝海)は「馬力で当たっている。小細工が通じない」と言い切った。

 貴乃花、宮城野親方(元横綱・白鵬)、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は前半戦勝ちっ放しからの優勝で最高位に昇進した。宮城野親方が「私はけがさえしなければ大丈夫という思いだった。一つ一つドラマがある。

大の里もかみしめて取っていくだろう」とたたえれば、二所ノ関親方は弟子を「集中している」と評した。期待を背負い、重圧をはねのけ大の里が夢をかなえる。(山田 豊)

 ◆大の里の昨年秋場所VTR 前回、ストレートで給金を直した昨年秋場所は関脇だった。12日目に若隆景に敗れるまで初日から11連勝。14日目に豊昇龍を押し出し2度目の優勝を決めた。初賜杯の同夏場所に続き、大いちょうの結えないちょんまげ頭だったことも話題になった。

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