◆大相撲 ▽夏場所14日目(24日、東京・両国国技館)

 13日目に2場所連続優勝を決め、横綱昇進を確実にしている大関・大の里が関脇・大栄翔を押し出し、初日から自身初の14連勝を飾った。全勝優勝して最高位に昇進すれば、1場所15日制となった1949年5月場所以降は6人目。

07年夏場所でその快挙を成し遂げた、宮城野親方(元横綱・白鵬)は大の里に期待を寄せた。千秋楽で不戦勝を除き過去1勝5敗と苦手にする横綱・豊昇龍を撃破し、名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)へ弾みをつける。

 祝賀ムードに包まれていた館内が一瞬、どよめいた。大の里は大栄翔の鋭い出足を呼び込んだ。押し込まれたところをとっさにいなした。反撃に転じると、もろ手で押して最後は体ごと押し出し、自己最多の14勝目。「土俵際、めちゃくちゃでしたけれど攻め切れて良かった」と目を閉じて話した。

 この日、土俵に上がると「おめでとう」の大声援がとんだ。大の里は昨年秋場所は14日目に優勝後、千秋楽で阿炎に敗れて13勝止まり。浮かれることなく部屋ではいつも通り過ごし、「今日、明日が大事」と気を引き締めた。土俵下の九重審判長(元大関・千代大海)は精神面の難しさを理解し、「気持ちは切らさず最後まで勝ちたい気持ちは持っている」と評価した。

 既に来場所の横綱昇進を確実にしているが、昇進直前場所での全勝Vなら1場所15日制となった1949年5月場所以降は6人目で日本出身では94年九州場所の貴乃花以来の快挙となる。

07年夏場所に達成し、歴代最多16度全勝Vを誇る宮城野親方は「優勝と全勝優勝では違う。そこからいろんなものが生まれてくる」と全勝した自信が、大横綱への道も切り開くとの考えを経験を元に口にした。

 大関の全勝優勝は49年以降では16年秋場所の豪栄道以来11人目となる。立ちはだかるのは不戦勝を除いて過去1勝5敗の横綱・豊昇龍だ。2日の横綱審議委員会による稽古総見では1勝8敗と惨敗した。来場所以降は横綱同士で優勝を争うだけに「疲れはあるが集中する」と大の里。6月7日に誕生日を迎え、千秋楽は24歳最後の取組となる。宿敵を撃破し、初の15戦全勝で最速昇進に花を添える。(山田 豊)

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