卓球の世界選手権個人戦最終日は25日、ドーハで行われ、男子ダブルスで第2シードの篠塚大登(愛知工大)、戸上隼輔(井村屋グループ)組が初優勝した。同種目の日本勢では1961年大会の星野展弥、木村興治組以来、64年ぶりの金メダル。

元国際連盟副会長の木村興治氏(84)がスポーツ報知の取材に応じ、快挙を祝福した。

 木村氏は篠塚、戸上組が高承睿、林イン儒(台湾)組に3―2で競り勝った決勝をテレビ中継で見守った。昨年2月の世界選手権団体戦(韓国・釜山)は現地で観戦しており「戸上選手も篠塚選手も、ポテンシャルの高い選手だと感じた」と注目していた。「動きが良く、若さにあふれ、負けるわけがないぞという気持ちで見ていた。見事に勝ってくれて良かった。今の卓球は速いし、バックハンドも使うが、大事なところではフォアハンドをよく使って攻め込んでいた。日本の卓球の伝統的な強さも十分に表してくれた」とたたえた。

 “64年ぶり”の記録には意外な思いもあったという。「ダブルスは日本が比較的得意としていた種目。『そうなの?』というのが率直な感想だったが、『そうか。北京大会の星野、木村組以来だな』と改めて認識させてもらった」。1961年北京大会は先に行われた男子団体(個人戦と団体戦が隔年開催となったのは03年から)で中国に決勝で敗れ、6大会ぶりに金メダルを逃した。

「ずっと日本は勝っていたので。団体戦で負けるというのは一番ショックだった」と振り返る。

 自身はシングルスでも表彰台に届かず、男子ダブルスが最後の種目だった。「ダブルスでは絶対何とかしなきゃいけないなと思っていた」。準決勝で中国ペアを破り、決勝はハンガリーペアを3―1で下した。「私は左(利き)で動き回る選手だった。星野さんと組んで、良きコンビネーションで絶対に負けるつもりはなかった」。意地の金メダルを懐かしんだ。

 28年ロサンゼルス五輪では、04年アテネ五輪以来となる男女ダブルスが実施が決まった。篠塚、戸上組の活躍はロス五輪に向けても明るい材料だ。木村氏は「日本の卓球はどちらかといえば女子が光っていたが、男子も負けていないぞ、ということを示してくれてうれしかった。2人はまだまだ若い。

今回の金メダルは、必ずや将来に結びつくだろうと思っている。下には松島(輝空)選手もいるが、2人が張本(智和)選手と切磋琢磨(せっさたくま)して盛り上げて欲しい」と願った。(林 直史)

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