第86回オークスは5月25日、東京競馬場で行われ、4番人気のカムニャック(アンドレアシュ・シュタルケ騎手)が差し切ってG1初制覇を飾った。友道康夫調教師=栗東=は、現役単独最多のクラシック7勝目。

友道師はレース当日の午前、東京大学で行われた音無秀孝元調教師の講演会に訪れていた。

 かつての“盟友”が背中を押してくれた。レース当日の午前。友道調教師は東京大学の学園祭「五月祭」に足を運んでいた。ともに栗東の坂路小屋で調教を見守り、今春で引退した元調教師の音無秀孝さんが初めて講演会を行ったためだ。本人に伝えていないサプライズ訪問だった。

 会は約2時間。音無元調教師から頼まれ、壇上に上がる場面もあった。笑い話も交えつつ、「やっぱり寂しくなりました」と口にしたのは感謝の気持ち。同じく坂路小屋「仲間」の矢作芳人調教師も駆けつけ、会場の教室は競馬ファンにはたまらない空間となった。

 もちろん騎手時代にノアノハコブネで勝った85年オークスの話もあった。「音無パワーをもらいましたね。

やっぱり、オークスの日ですから。引退後に会うことはあったけど、相変わらず元気そうで何より。学園祭の規模の大きさに驚いたし、楽しい1日でした」と友道師。40年の時を超え、バトンはしっかりつながった。(山本 武志)

 音無元調教師「友道君は『具合がいい』ぐらい一言、講演会で言ってくれればよかったのに(笑い)。ただ、こういう会を行った日に勝ってくれてよかったです」

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