◆第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京競馬場・芝2400メートル)
3歳馬の頂点を争う第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京)に皐月賞馬ミュージアムマイル、同2着馬クロワデュノールの主役級2頭を含む所有馬4頭を出走させるクラブ法人「サンデーレーシング」の吉田俊介代表(51)がインタビューに応じた。逆転を狙うクロワデュノールは凱旋門賞・仏G1(10月5日、パリロンシャン競馬場)に登録しており、ダービーを勝っての世界挑戦に期待を寄せた。
―サンデーレーシングの皐月賞1、2着馬がダービーに出るのは15年ドゥラメンテ、リアルスティール以来。ダービーでのワンツーとなれば、12年以来です。
「皐月賞1、2着自体がすごいことだと思いますし、2頭とも順調にダービーに臨めるので、本当に楽しみにしています」
―まずミュージアムマイルの皐月賞を振り返ってください。
「ぶつけられて、ぶつかって、というのはありましたが、モレイラさんが冷静に対処してくれて、バランス、リズムを崩さず乗ってくれたことが最後の伸びにつながったのかなと」
―距離延長についての見通しは?
「たまたまミュージアム“マイル”という名前で(笑)。確かに短い距離でスピードがあるイメージの血統ですが、それでも皐月賞を勝ったので当然、ダービーに挑戦しないといけない。十分に距離はこなしてくれるんじゃないかなと思います」
―今回はレーン騎手への乗り替わりとなります。
「モレイラさんがいないという状況で調教師さんとも相談して、まずレーンさんにお声掛けしましょうと。皐月賞のすぐ後には動いていました。日本で毎年結果を出しているジョッキーですので、全幅の信頼を置いています」
―断然の1番人気に支持されたクロワデュノールは正攻法の競馬で2着でした。
「G1ではなかなかないくらい出入りも激しかったし、実際に不利を受けていました。関係者にとっては当然悔しいと思いますが、悲観することなくダービーで巻き返そうという強い意気込みを持って挑戦してくれていますね」
―東京は2戦2勝。舞台は合いそうです。
「広いぶん、力を発揮しやすい舞台かな。血統的背景を見ても距離は延びてよさそうだと、ずっと思っていますから」
―凱旋門賞にも登録しています。
「キタサンブラック(※)はもう1年現役を続行して凱旋門賞を目指したら、という話もあったくらい。最近は特に天気が悪いせいもあって(日本馬が)打ちのめされていますが、ロンシャンの馬場で見てみたかったですね。その子どもですから、こなしてくれる可能性はあるかなと思って期待しています。『(陣営には、ダービーに)勝たなきゃダメだよ』とは言っていますが」
―勝てば単独トップの5勝となりますが、やはりダービーは特別ですか?
「そうですね。当日の雰囲気も全然違いますし、月並みに言って、一番勝ちたいレースです」(取材、構成・西山 智昭)
※キタサンブラック オーナーは演歌歌手の北島三郎。15年菊花賞でG1初制覇を飾ると、16年から武豊とコンビを組み、天皇賞・春(連覇)、大阪杯、ジャパンC、天皇賞・秋を勝ち、ラストランとなった17年有馬記念でG1・7勝目を挙げ、種牡馬入りした。16、17年に2年連続でJRA年度代表馬。産駒に22、23年の年度代表馬イクイノックスなどがいる。
◆4頭出し豪華ラインアップ
15年の5頭出しに続くダービー4頭出しとなる今年は皐月賞1、2着馬以外も上位を狙えるラインアップがそろった。
ドゥラメンテ産駒のラストクロップとなるファイアンクランツは青葉賞2着からの参戦。
皐月賞は10着に終わったカラマティアノスも「現時点でのレイデオロ産駒の特長として、芝の長いところで結果を出してくれる馬が多いので」と距離延長での巻き返しに期待していた。
◆サンデーレーシング JRAに馬主登録をしているクラブ法人。1988年の設立以降、11年3冠馬オルフェーヴル、12年牝馬3冠ジェンティルドンナなど数多くの名馬を輩出。G1を85勝、重賞は通算255勝を挙げている。吉田俊介(よしだ・しゅんすけ)氏(51)は慶大卒業後、98年からの米国研修を経てノーザンファームに入社。07年からサンデーレーシング代表となり、15年からはノーザンファームの副代表も務める。祖父は社台グループ創設者の故・吉田善哉氏。父はノーザンファーム代表の吉田勝己氏。