プロボクシングの前IBF世界ミニマム級王者で、24日の試合後に意識もうろうとなり緊急搬送されていた重岡銀次朗(25)=ワタナベ=が、右急性硬膜下血腫のため大阪市内の病院で開頭手術を受けたことが27日、分かった。日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛執行理事が同日、「確実な情報として、急性硬膜下血腫となりました。
重岡銀は、現在も大阪市内の病院で入院中。前WBC世界ミニマム級王者の兄・重岡優大(27)=ワタナベ=と父親が付き添っているという。安河内氏は「朗報を期待していますが、少し時間かかるのかなと思います。1週間ほどが状況が分かる期間になりますので、随時状況をお伝えします」と話した。
重岡銀は24日、インテックス大阪で昨年7月に王座を奪われた同級王者ペドロ・タドゥラン(タイ)と再戦し、1―2の判定で敗れた。
判定結果を聞いた後、重岡銀は何度か両手でこめかみの辺りを押さえていた。コーナーに戻りイスに座ると、ロープに手をかけた状態で目を閉じたまま、意識もうろうとなった。ドクターの「口を開けられますか」との問いかけにも無反応。優大が「おい銀、ちょっと返事して。ここで切らすな、切らすな、大丈夫。
重岡銀は、昨年7月にタドゥランに9回TKO負けした試合後も病院に緊急搬送されている。この時は眼窩底(がんかてい)骨折で翌月に手術を受けた。
安河内氏は「東京、大阪のコミッションドクターの共通した意見とすれば、前回重岡選手が負けた時はかなり打撃戦でダメージがあったが、今回の試合に関しては際立ったダメージがないというのが大方の意見」と話し、「前回かなり大きなダメージがあったと推測される方もいるが、だいぶ時間が経っているので、それが原因だったっていうのは、普通の感覚からいくとちょっと考えづらい」との見方を示した。
さらに、安河内氏は「自分も試合に立ち合っていていたが、危ないというシーンはほぼなかった。朝も当日計量があったが、いつも通り落ち着いていた彼の様子が印象に残っている。試合でも全く銀次朗選手の心配をするようなところがなかった」と試合当日の様子を振り返り、「これからいろんな原因究明をしていかなければいけないが、難しさに直面している」と思いを吐露した。
JBCはこれまでも、日本王座戦での事前計量導入やセコンドの増員など事故防止策を講じてきた。安河内氏は「僕らは結果を受け止めなければいけない。硬膜下血腫で緊急手術をしたという結果は非常に重い。今後もどんどん試合が続いていくので、一つのミスも許されないという形でやる。