大相撲夏場所で2場所連続優勝した大関・大の里(24)=二所ノ関=の横綱昇進が28日、日本相撲協会の名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)番付編成会議と臨時理事会で正式に決定する。決定後は昇進伝達式が行われ、大の里が決意を示す口上を述べる。

能生(のう)中、海洋高時代を過ごした新潟・糸魚川市では、同市を走る「えちごトキめき鉄道」が「横綱・大の里ラッピング電車」になる計画が浮上するなど歓迎ムードに沸いている。

 いよいよ第75代横綱・大の里が誕生する。この日は稽古も休み。茨城・阿見町にある二所ノ関部屋は、19本ののぼりが立ち、部屋は慌ただしい様子で横綱昇進を伝える協会の使者を迎え入れる準備が整えられた。

 中、高6年間過ごした糸魚川市も、待ちきれない様子だ。昨年9月から大の里ら母校・海洋高相撲部OBの関取4人がラッピングされた「えちごトキめき鉄道」が運行中。関係者によると、昇進に合わせて綱を締めた写真に変えるプランがあり、車内にも横綱昇進を祝う中吊り広告を掲示する方向だという。伝達式後にアドバルーンを飛ばし、夜には同高など3か所で花火を打ち上げる予定。同市関係者は「昇進の盛り上がりに貢献できたら」と声を弾ませた。

 昭和以降で末尾に5がつく横綱は歴史に名を残した。不滅の69連勝を誇る35代・双葉山、「土俵の鬼」と呼ばれた45代・初代若乃花が続き、「憎たらしいほど強い」55代・北の湖は優勝24度。65代で優勝22度「平成の大横綱」貴乃花が続く。

26日の会見で大の里は75という数字について「特にはない」と返したが、稀勢の里以来8年ぶりとなる日本出身横綱の誕生に、大きな期待が寄せられている。

 注目されるのは伝達式での口上で、昨年秋場所後の大関昇進時には「唯一無二の力士を目指す」と述べた。秋場所優勝後に海洋高時代の恩師・村山智明氏(46)に相談して決めたが、大の里は「もう使ってしまった」と変更を示唆。同氏は今回は相談が来ていないことを明かし「二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)があたためていた口上があるのでは」と予想。注目を集め、大の里が横綱として一歩を踏み出す。(山田 豊)

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