◆プロボクシング▽東洋太平洋&WBOアジアパシフィック・ライト級(61・2キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ○王者・宇津木秀(TKO5回1分59秒)挑戦者・アクトレティ・イェルジャン●(27日、後楽園ホール)
2冠王者・宇津木秀(31)=ワタナベ=が圧巻のTKOで防衛に成功した。WBOアジアパシフィック・ライト級8位アクトレティ・イェルジャン(26)=中国=の挑戦を受けた宇津木は、開始のゴングから切れのある動きで試合を支配。
「KOできたことはよかったが、出来は50点。今回はディフェンスを重点的に強化してので、まだまだです」と高いレベルでの完成を求めるだけに満足することはない。それでも、この日は気持ちのこもったファイトだった。ジムの後輩の重岡銀次朗が24日の世界戦で急性硬膜下血腫となり、開頭手術を受け大阪市内の病院に入院中。「あの世界戦は激闘だった。あの姿を見て自分も頑張らないといけないと思った。銀次朗も頑張って欲しい」と麻酔で眠った状態で経過観察中の後輩を気遣った。
そして気になるライバルにも負けてはいられない。同じ階級の前日本王者・三代大訓(横浜光)が6月14日に米ニューヨークでアンディ・クルス(米国)とのIBF世界ライト級挑戦者決定戦が決定した。アジア最強を目指し、一時はお互い対戦を希望していただけに、一歩を先を行かれた形となった。
2年前に結婚し、3月9日には待望の第一子となる女児が誕生した。「父親の責任というか、これからは家族を守っていかなければいけない。もっと頑張らないと」と幸せいっぱいの笑顔がはじける。目指すは世界の舞台。あと2、3戦、強豪との試合で世界ランクをさらに上げれば「チャンスはくるはず」とワタナベジム・渡辺均会長。世界的に層の厚いライト級。国内での挑戦にはこだわらず「海外でもどこにでも行きます」とチャンピオンは力強く決意表明した。
戦績は宇津木が16勝(14KO)1敗、イェルジャンは10勝(3KO)5敗1分け。