大相撲夏場所で連続優勝した大の里(二所ノ関)の横綱昇進が28日、正式に決まり、茨城県・阿見町の二所ノ関部屋で昇進伝達式が行われた。注目された口上は「これしかない」と大関昇進時と同じ「唯一無二」を用いた。
過去の横綱が昇進した際には四字熟語など数々の印象的な言葉で、番付最高位に立つ決意を示した。
精かんな顔つきでウルフと呼ばれた昭和の大横綱・千代の富士は「一生懸命(本気で物事に打ち込む)」という言葉を使った。日本中が熱狂した若貴フィーバーを巻き起こした3代目・若乃花、貴乃花の兄弟横綱も四字熟語に思いを込めた。貴乃花が「不惜身命(身も命も惜しまない)」、若乃花は「堅忍不抜(我慢して耐えしのぶ)」だった。
モンゴル出身として初の横綱となった朝青龍は千代の富士と同じ「一生懸命」。最多優勝45度の白鵬は「精神一到(心を集中すればできないことはない」という言葉を用いた。
今年初場所後に昇進した豊昇龍は大関昇進時と同じ「気魄一閃(きはくいっせん・どんなことがあっても力強く立ち向かうという)」で決意表明。大の里の師匠・二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「横綱の名に恥じぬよう精進」とシンプルな言葉を述べた。二所ノ関親方の師匠だった隆の里は大関時は「節制に努めて努力精進」と糖尿病に苦しんだ経験を踏まえた内容だった。
◇主な横綱の口上◇
隆の里(83年7月)「謹んでお受けいたします。節制に努めて努力精進いたします」
貴乃花(94年11月)「今後も不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で、力士として不惜身命(ふしゃくしんみょう)を貫く所存でございます」
3代目若乃花(98年5月)「横綱として堅忍不抜(けんにんふばつ)の精神で精進していきます」
武蔵丸(99年5月)「横綱の名を汚さぬよう、心技体に精進いたします」
朝青龍(03年1月)「これからはなお一層けいこに精進し、横綱として相撲道発展のために一生懸命頑張ります」
白鵬(07年5月)「横綱の地位を汚さぬよう、精神一到(せいしんいっとう)を貫き、相撲道に精進いたします」
日馬富士(12年9月)「横綱を自覚して、全身全霊で相撲道に精進します」
鶴竜(14年3月)「なお一層けいこに精進し、横綱の名を汚さぬよう、一生懸命努力します」