NHKは29日、大阪市内で会見を開き、2026年度後期の連続テレビ小説第115作が「ブラッサム」に決まったことを発表した。明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代さんをモデルとした物語で、女優の石橋静河が主演を務める。

 会見に登壇した石橋は「初めてこういう声をかけていただいたよと聞いたときはびっくりして、青天の霹靂(へきれき)とはこのことかと、いまだにビックリしている」と率直な感想をコメント。宇野さんの本を読みあさって「なんてステキな方」と感銘を受けたそうで「こんなにステキな方を「これから1年かけて、長い時間かけてキャスト、スタッフの皆さんと掘り下げていけるんだなと思うと、とてもうれしいです。朝、全国の皆さんがテレビを見て、今日もいいもの見たな、よし!と思ってもらえるような作品にしたい」と語った。

 石橋の父は俳優・石橋凌、母は女優・原田美枝子。主演に決まったことは「本当は誰にも言っちゃいけないって言われたんですけど、両親にだけはこっそり言ったら喜んでくれました」と話し、「よかったね、頑張ってね」と言われたことを明かした。連続テレビ小説への出演は、2018年の「半分、青い。」以来2回目となる。

 「いまだにまったく想像していない未来だったので、人生って不思議。たくさんの方が集まって下さってるので、ドッキリではないと」と笑った石橋。制作統括の村山峻平氏は石橋をヒロインに選んだ理由について「自然体でありながらも、独特な雰囲気を持っていて、強いまなざしが印象的であり、目が離せなくなってしまう力強さがある。主人公の葉野珠として生きる石橋さんをとにかく見たい。その一心でオファーをしたという感じです」と説明した。

 タイトルは花の開花を意味する言葉。

「咲き誇れ!」という思いを込め、主人公の葉野珠(はの・たま)が自分を肯定し、奮い立たせる言葉だという。チェリー・ブラッサムの「桜」は宇野さんのトレードマークでもある。脚本は櫻井 剛氏が担当する。明治30年(1897年)、山口県の岩国に生まれた主人公が小説を書きたいという幼き日の夢を諦めず、故郷の山口・岩国を飛び出し、魅力的な人々との出会いによって夢を手繰り寄せ、大正・昭和の激動の時代へと突き進んでいく物語となる。大正から昭和にかけて、関東大震災と戦争、結婚と離婚、倒産そして借金…と、さまざまな困難にのみ込まれながらも、作家として生きることに向き合い、小説家として花を咲かせる。

 連続テレビ小説は現在、絵本「アンパンマン」の作者・やなせたかしさんとその妻・小松暢(のぶ)さんをモデルとした夫婦を今田美桜と北村匠海が演じる「あんぱん」が放送中。また、25年度後期には、小説「怪談」で知られる作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と妻のセツをモデルに、史実を再構築した「ばけばけ」が放送予定で現在撮影が行われており、夫婦役の髙石あかりと英俳優のトミー・バストウが務める。

 26年度前期には、まだ女性の職業が確立されていなかった明治時代に、正式に看護学を学んで「トレインドナース」となった、大関和さんと鈴木雅さんがモデルの「風、薫る」が放送予定。シングルマザーになった看護師・一ノ瀬りん役を見上愛が務める。また、同作は「ダブルヒロイン」で展開することも明らかになり、一ノ瀬(見上)の相棒・直美役はオーディションで決定する。

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