8代目尾上菊五郎が29日、東京・歌舞伎座で襲名披露公演の2か月目「六月大歌舞伎」(2~27日)で使用する祝幕のお披露目を行った。

 祝幕は、ティファニーから贈呈されたもので題名は「菊富士曙(きくふじあけぼの)」。

菊五郎をイメージした菊の花を富士山に見立て、おおらかにすがすがしく高くそびえる心意気が込められている。横に咲くつぼみは、6代目菊之助をイメージ。背景にはティファニーブルーのグラデーションを取り入れ、夜が明けていく様子が描かれている。日本画家で鎌倉女子大学教授の大河原典子氏が原画を手掛けた。

 菊五郎は「結婚指輪がティファー」と明かし、「祝幕を贈呈いただいたのは夢のようで、感激しております」と喜んだ。6月の公演に向けて「菊の花言葉は高潔です。高潔な気持ちで6月も襲名披露公演を迎えられたら」と抱負を語った。

 今月の「團菊祭五月大歌舞伎」では、1977年生まれの同級生である市川團十郎の心温まる口上が話題を集めた。菊五郎は「毎日、昔の思い出を語ってくれて、私が忘れているようなこともあって『そう言えば、そんなこともあったな』と思いました。幼なじみとして育ち、学校でも共に学び、稽古場にも共に通いました」。菊五郎たっての希望で「勧進帳」での共演が実現し、「團十郎さんには感謝しかありません」と思いを込めた。

 「團菊祭」の千秋楽では、「弁天娘女男白浪」で父の7代目菊五郎、息子の6代目菊之助と音羽屋3代がそろって登場するサプライズ演出があった。

「中日(なかび)を過ぎた頃、せがれ(菊之助)が『最後の土橋に3人で並びたい』と言ってきまして、7代目に聞いて、團十郎さんの了解もいただきました」。自身は菊之助襲名前に祖父(7代目尾上梅幸さん)を亡くしており、「後悔が残っていました。せがれのおかげで、恩返しができたかな」と表情を緩めた。

 東京・銀座三越(新館9階)では8代目菊五郎、6代目菊之助の「襲名展」がこの日から6月30日まで開催。衣装や等身大のアクリルスタンドが展示されている。銀座三越から歌舞伎座は徒歩5分ほどの近距離。テープカットを行った菊五郎は「三越で襲名展を見て、弁当を買って公演に来てください。公演に来た方は襲名展を見て三越で買い物をしてください」とアピールした。

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