将棋の藤井聡太名人=竜王、王位、王座、棋王、王将、棋聖=に永瀬拓矢九段が挑戦する第83期名人戦七番勝負第5局が30日、茨城・古河市「ホテル山水」で指された。藤井がシリーズ初となる2局連続の千日手の戦いを制し、3連覇を達成した。

 終局時間は1局目の対局再開から14時間以上が経過した午後11時16分。2局合わせて248手の長期戦となった。千日手後は切り替えに努めたが、指し直し局では「戦い始めた数手で苦しくなってしまって、最後の最後まで苦しい局面だった。思っていた以上に厳しい形勢になった」と反省。勝利を意識したのは最終盤の167手目▲6一角と打った場面で「少し手厚い形にできそうかなという感じになりました」と振り返った。

 この日は午前9時に永瀬の封じ手が開封されて前日から指し継がれたが、飛車回しを続け、午前10時59分に千日手が成立。指し直し局ではこれまでのスローペースから一転、序盤は早指しが続いた。再び千日手の可能性もあったが、藤井が打開。その後は永瀬優勢の展開が続き、藤井にとっては苦しい状況が続いた。持ち時間の残りがわずかになると攻めに転じ、形勢を互角に戻した。最後は秒読み対決となったが、終盤の強さを見せて勝利をつかんだ。持ち時間(各9時間)の残りは藤井、永瀬共に1分だった。

 藤井は4勝1敗で防衛に成功。次戦は棋聖戦五番勝負第1局。6月3日に栃木・日光市「日光金谷ホテル」で指される。

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