落語家の桂文珍が5日、大阪市北区の天満天神繁昌亭で、自身が「若手育成特別顧問」と審査委員長を務める「第11回若手噺家グランプリ」(通称・ハナグリ)の18日に行われる決勝戦のPR会見に出席。決戦の舞台に自身の弟子がいないことを嘆いた。
文珍は顧問と審査委員長を引き受けるにあたり、この賞レースの改革に着手した。まず「リトグリにちなんで」と親しみやすい通称「ハナグリ」と名づけた。さらに漫才の「M―1グランプリ」のように、大会当日に出番順を決め、事前にネタ出し(ネタ名の発表)も行わない。当然、ネタがつく(ネタがカブる)可能性もあるので、文珍は「演者も臨機応変にやらないといけない。アドリブ感覚、その場で適したものをやれるかどうかを判断されるのではないか」と若手に説いた。
続いて文珍は「古典を守ると同時に、革新的なネタも次々と発表してもらいたい。ここにいるのは予選を勝ち抜いた8人」と出演する林家染吉(染丸)、桂団治郎(米団治)、林家染八(小染)、桂慶治郎(米団治)、桂三実(文枝)、月亭遊真(遊方)、月亭希遊(同)、桂雪鹿(文鹿=カッコ内は師匠。入門順)を紹介した。
そして「審査委員長を拝命しておりますが、ウチの弟子がここに入ってないのが情けない限り。弟子に聞くと『師匠が委員長になりはったら気ぃ使いはるやろうと思って手を抜きました』と言い訳しておりました」とメガネの奥の眉を曇らせていた。
所用で不在だった林家染吉(入門2007年)を除けば09~18年入門の若手。上方落語協会会長の仁智は「噺家の新米じゃございませんが、古古古米でもない。
決勝戦は大阪・天満天神繁昌亭で18日午後6時会場、同6時30分開演。ネタ時間は各人9~12分。予定時間未満、超過は減点対象。チケットは既に売り切れで、配信サービス「兎道亭」(3000円)で視聴可能。
また8月27日、9月3日に繁昌亭の夜席で「桂文珍とハナグリの会」と称して決勝を振り返るイベントも開催する。各日とも文珍と決勝進出者のうち4人ずつの計5人が、ここでもクジ順で20分のネタを披露する。文珍自身もクジを引くことから、トップバッターを務める可能性もある。「(前座噺の)子ほめの稽古をしてます」と笑わせると、団治郎も「聞きたい、聞きたい!」と興味津々だった。