◆プロボクシング ▽WBC&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)王座統一戦12回戦 〇WBC王者・中谷潤人 (6回終了TKO) IBF王者・西田凌佑●(6月8日、東京・有明コロシアム)

 WBC王者・中谷潤人(27)=M・T=が2団体王座統一から一夜明けた9日、東京・文京区の東京ドームホテルで記者会見。WBC、IBF世界バンタム級王座統一戦でIBF王者・西田凌佑(28)=六島=に6回終了TKO勝ちした喜びを語った。

 「2本のベルトを統一できて、素直にうれしい。この試合に向けてたくさん練習してきたので形になってよかった」と中谷。大きなダメージもほとんどない顔に笑みを浮かべた。

 5戦連続KO勝ちを決めた中谷はこれで世界戦10連勝。うち9KOで、KO率は驚異の90・0%となった。初回から積極的に攻撃する作戦を取ったが「西田選手の気持ちを感じた。距離感が良い選手なので、それに当てはまるのは良くないと。そこを崩して前に出られたのはよかった」と振り返った。西田は右肩を脱臼し、6回終了後に棄権。TKO勝ちとなったが、中谷の会見終了後には、その後に会見に登場する西田と記念撮影に応じた。

 試合後はチームでステーキなどの食事を楽しんだ中谷。テレビ番組で知り合ったタレントの堺正章からの祝福も受けた。

クラシックカーが大好きなチャンピオンは、堺との車談議に花を咲かせたという。前夜はあまり寝られなかったそうで、試合の映像については「少しだけ見た。少し力みすぎて、大振りになったシーンがあった」と反省も。初回から攻撃を仕掛ける作戦は4月下旬に、強化合宿を行った米国ロサンゼルスに到着してからすぐ、チームで考えた作戦だという。「西田選手と戦うために用意した、強いパンチを振る戦術だったので、そういう大振りになったのかも。ダメージを与える事に集中していたので、(戦術がはまって)よかった」と話した。

 世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者・井上尚弥(大橋)はリングサイドで観戦したが、試合後、自身のXで「スーパーバンタム級戦線へようこそ こんな強い日本人がいたらワクワクしちゃうよな」と中谷を連想させる文章を投稿。3月の年間表彰式で、来年の東京ドーム決戦を呼びかけたモンスターの闘志に改めて火が付いた。中谷は井上のXについては知人から聞かされたそうで「いろんな選択肢がある中、スーパーバンタム級に行くと、ものすごく大きく思っている部分はあります」と階級を上げる可能性も認めた。井上との戦いについては「試合を見させてもらっている。イメージ? それは言えない」としたうえで「試合がこれからもあるので、その過程をふまえて、より強くしていきたい」と力を込めた。西田戦で見せた初回から攻める作戦を「井上戦でも?」と問われると、「それはナンセンスですね。

あくまでも西田選手と対戦するための作戦でしたから」と話した。

 中谷は次戦について「ケガもそんなにないので、できれば早くしたい。少なくとも年内には1試合はしたい」と意欲。スーパーバンタム級に転向すれば、井上戦を見据えて、上位ランカーとの対戦が有力。相手候補には井上と今年5月、米ラスベガスで対戦し、8回TKO負けを喫したWBA1位のラモン・カルデナス(米国)も浮上している。

 戦績は中谷が31戦全勝(24KO)、西田が10勝(2KO)1敗。

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