山尾志桜里元衆院議員(50)は12日、国民民主党が夏の参院選全国比例代表の公認内定を取り消したことにSNSで「統治能力に深刻な疑問を抱き、今後は一線を画させて頂きます」と不信感を表明し、同党に離党届を提出したことを明らかにした。

 10日の出馬会見翌日となる11日に公認内定取り消し決定…。

波乱の展開から一夜明け、山尾氏は怒りをにじませた。今回問題となった2017年の不倫疑惑などの事柄は、公認内定時から「全て周知されていた」と指摘。執行部主導で出馬要請を受けたにもかかわらず、11日の両院議員総会で公認見送りを決定したことに「かなりの違和感があった」と強調した。さらに「正式な公認内定を受けても党の都合で排除されてしまう政党では、志のある方も今後立候補の決断に躊躇(ちゅうちょ)してしまうのではないでしょうか」と一貫性のない党の姿勢を猛批判した。

 山尾氏は4月に国民からの出馬が報じられて以降、同党の支持率が急落し続ける事態に。この日の声明では、10日の記者会見で、山尾氏が玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長に同席を求めたものの「辞退会見であれば同席するとの答えは大変残念だった」と、公認辞退を勧められていたことも示唆した。

 山尾氏は10日の会見で、17年に週刊誌で報道された不倫疑惑については否定したものの、その根拠は一切説明しなかった。榛葉幹事長は11日に、公認内定取り消し理由について「全国の都道府県連、地方議員からの声があった」と説明していた。

 永田町への思いの行き場を失ってしまった山尾氏。この日の声明では「国政に再挑戦し、国家のために力を尽くす、その決意に揺らぎはありません」と変わらぬ意欲もにじませた。

 ◆玉木氏苦渋「会見で疑念払拭ならなかった」

 〇…玉木代表はこの日、記者団に「こちらから誘ったにもかかわらず、公認に至らなかった。率直におわび申し上げたい」と述べた。

離党届は受理するとした。一方で「会見で、これまでの疑念が全て晴れれば公認に移行する用意もあったが、疑念払拭(ふっしょく)にはならなかった」と苦渋の決断だったことを明かした。

 ◆立花氏オファー「ぜひNHK党に」

 〇…政治団体「NHK党」の立花孝志党首(57)はこの日、自身のYouTubeチャンネルで山尾氏の公認内定取り消し騒動に言及した。立花氏は「彼女からしたら怒りますよね」と山尾氏に同調。不倫を認めた玉木氏が国民の代表を務めていることにも触れ、「玉木さんが守ってあげないと」とした。立花氏は11日にも同チャンネルで山尾氏に「ぜひNHK党にお越しください!」とオファーしている。

 ◆山尾氏の国政への歩み

 ▼2009年8月 衆院選に民主党公認で愛知7区から出馬して初当選

 ▼12年12月 衆院選に同区より出馬し落選

 ▼14年12月 衆院選に同区より出馬し再当選

 ▼16年3月 民進党結成時に政調会長に就任

 ▼17年9月 弁護士とのダブル不倫を週刊誌が報道。民進党を離党

 ▼10月 無所属で同年の衆院選に当選

 ▼12月 立憲民主党に入党

 ▼20年3月 立憲民主党離党

 ▼6月 国民民主党入党

 ▼9月 国民民主党から、衆院選比例東京ブロック単独1位で立候補すると表明

 ▼21年6月 立候補取りやめを発表

 ▼25年5月 国民民主党が全国比例代表での公認内定を発表

 ▼6月10日 国会内で出馬会見

 ▼11日 党が公認見送りを決定

 ▼12日 離党表明

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