WBO世界ウエルター級2位の佐々木尽が12日、東京・八王子市の所属ジムで王者ブライアン・ノーマン戦に向けた練習を公開した。過去の自身の等身大パネルをKOし、進化した姿をアピール。
超異例のパフォーマンスを披露した。「過去の自分とスパーリングをしたいと思います」。佐々木はシャドーボクシングなどを行った後、リング上に自身の等身大パネル2体を並べた。まずは日本ユース王者のベルトを掲げた4年前のパネルと対戦。右ストレートでダウンさせ、右アッパーで追い打ちをかけた。続けて「こっちは1年前」と東洋太平洋、WBOアジアパシフィック王者のベルトを掲げたパネルと対戦。左フック2連発で吹っ飛ばした。
「やっぱり過去の自分は強くなかった。見ての通り動かないし、ディフェンスが甘い。あれじゃ世界では通用しない」とパネルに言いたい放題ダメ出し。
“勝利の使者”も訪れた。今月2日、ジムの玄関前に体長1メートルほどの白蛇(コーンスネーク)が出現。古来より、白蛇は開運を運んでくる縁起のいい生き物と言われる。2001年生まれで巳年(へびどし)の年男でもある佐々木は「このタイミングですごくないですか。幸運をもたらすって感じで。『心配しなくても大丈夫だよ、勝てるから』ってあいさつに来てくれたのかな」と吉兆に声を弾ませた。世界戦のコスチュームも、巳年のラッキーカラーだという緑を基調にした。
日本ボクシングコミッションのルールでは、ウエルター級の試合は10オンスのグラブで行われるが、今回はWBOルールにより8オンスのグラブを使用。佐々木は初体験だが「小さい方が素手に近くて、どこを打っても効かせられるイメージがあるので楽しみ」と追い風として受け止める。
〇…佐々木が地元・八王子市の期待も背負う。八王子駅改札前には3枚の巨大懸垂幕が掲げられ、駅構内の「つながルーム」には佐々木への応援メッセージを書くコーナーが設けられた。駅周辺の至る所に横断幕やポスターが掲示され、商業施設の大型ビジョンで試合の告知映像も流されている。ジム内には、母校・別所小の児童からの寄せ書きもあり、佐々木は「本当にうれしいです。力になります」と笑顔で話した。
◆白蛇は幸運の使者? 白蛇は古来より、希少性から縁起のいい生き物として信仰の対象とされている。金運・開運を呼ぶ神の化身として各地で様々な言い伝えが存在し、神社・仏閣で白蛇が祀(まつ)られている。
◆佐々木 尽(ささき・じん)2001年7月28日、東京・八王子市生まれ。23歳。