◆プロボクシング ▽WBO世界ウエルター級(66・6キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・ブライアン・ノーマン―同級2位・佐々木尽(6月19日、大田区総合体育館)

 日本人初のウエルター級世界王者を目指すWBO同級2位の佐々木尽(23)=八王子中屋=の挑戦を受けるWBO同級王者・ブライアン・ノーマン(24)=米国=が13日、横浜市の大橋ジムで練習を公開。「ベストコンディション。

体も出来上がっていて、体重も問題ない。真のチャンピオンとしての試合を見せたい。1ラウンドでも早く終わらせられるような試合が出来る練習をしている」と自信をみなぎらせた。

 ノーマンは、ロープスキッピング2ラウンドの後、腹筋ローラー、シャドーボクシングを各1ラウンド、ミット打ち、サンドバッグ打ちを各2ラウンドの計8ラウンド、たっぷり汗を流した。リング上では「俺はチャンピオン」「グローバルなチャンピオンになる」などと自身を鼓舞しながら体を動かした。最後は、「フォアマン トリビュート」と声を出した後、3月に亡くなった元WBA・WBC・IBF世界ヘビー級王者ジョージ・フォアマン氏に捧げるように重い左フックをサンドバッグにたたき込み、練習を締めた。

 決戦2週間前には来日し、「外にゴミがない。時間にもきっちりしている」などと日本文化へのリスペクトを示したノーマンだが、ファイターの本性ものぞかせた。佐々木尽との違いは何かを問われると、頭を指さして「自分自身はすごいクレイジーな男。ちょっとキレているといってもいい」とし、「ボクシングはちょっとしたクレイジーさがないとできないが、自分は誰よりもクレイジーだ。戦いの神だと思っている。普段の練習から、自分のリミットを超えていくことに何の恐れもない。

他の選手たちの一歩上を行っている」と続けた。

 8日には有明コロシアムでWBC&IBF世界バンタム級王座統一戦を観戦。王座を統一した中谷潤人(M・T)を「大変素晴らしいプロだと感じた。完璧にあたったアッパーカットやパンチのひとつひとつが素晴らしかった」と絶賛し、「あの試合を見て、自分自身の中にある青写真に沿って練習していけば大丈夫だと思った。自分がやるべきことをやれば、ああやってリング上で出せるのだと思った」と学んだという。

 佐々木戦に向けては「アクション満載の激しい試合になることを約束する。持ってきたベルトは自分で持って帰る。WBOアジアパシフィックのベルトと自分のベルトを懸けてもいいので、また日本で試合がしたい。日本だけではなく世界中で戦って、チャンピオンであることを示せる存在になりたい」と話した。

 公開練習を視察した佐々木陣営の中屋廣隆チーフトレーナーは「パワー、スピード、全体的に見ても、穴を探すのは難しい。すべてを警戒しなければいけない」とノーマンの実力を評価しながらも、「(佐々木が)勝負できるというのも分かった。対策の中身は言えないが、想定内だった」と攻略への手応えを口にした。

 ウエルター級世界戦の日本開催は、1989年12月10日に東京・後楽園ホールで尾崎富士雄(帝拳)がWBA王者マーク・ブリーランド(米国)に挑戦し4回TKO負けして以来、36年ぶり。日本人選手の同級での世界挑戦は、2009年10月3日に佐々木基樹(帝拳)がWBA王者ビチェスラフ・センチェンコ(ウクライナ)に挑戦して判定負けして以来16年ぶり6度目(5人目)となる。

 戦績は佐々木が19勝(17KO)1敗1分け、ノーマンが27勝(21KO)2無効試合。

 興行は、NTTドコモ映像配信プラットフォーム「Leminoプレミアム」で配信される。

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