◆陸上 ダイヤモンドリーグ 第6戦(日本時間13日、ノルウェー・オスロ)
女子やり投げは、昨夏パリ五輪金メダルの北口榛花(27)=JAL=が64メートル63の今季自己ベストをマークして優勝した。最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)は今季初勝利で2022年の初優勝以来、通算10勝目。
パリ五輪女王の底力を存分に示した。北口は5投目でトップに躍り出ると、そのまま首位を譲らず逆転優勝。世界最高峰シリーズのDLで22年の初優勝以来、10勝目。2桁Vの大台に乗せ、「64メートルという記録で、正直ほっとした」と表情を緩めた。
やはり、逆転の北口だった。60メートルにも届かなかった1投目から思うように投げられず、「右方向へやりが抜けてしまった」と4投目の時点で60メートル86の4位。迎えた5投目。これで3位以内に入らなければ最終6投目へ進めないプレッシャーがかかる場面で、女王が強さを発揮した。鋭い助走から「やり先をコントロールすることを重視した」と放ったやりは65メートルに迫る地点に到達。“北口スマイル”でガッツポーズし「とにかく集中した。
今季は5月3日のDL第2戦(上海)でシーズンインし、同18日はセイコー・ゴールデングランプリ(東京・国立競技場)で凱旋(がいせん)試合。多くの日本ファンが見守る中で優勝し「久しぶりに『来たな』っていうタイミングで投げられた。やりに全部のエネルギーが乗ればもうちょっと飛ぶ」と手応えを得ていた。ただ、それ以降に体調を崩し、予定していた2試合を欠場。「一度練習を休まないといけないぐらい。復帰するのは少し大変だった」と万全ではない状態でもできる調整を進め、女王として貫禄勝ちした。
今季は世界陸上2連覇に加え、自己ベストの日本記録67メートル38(23年9月・DLブリュッセル)超えを狙う。ターゲットは19年8月に中国の呂会会がマークした67メートル98のアジア記録の更新だ。27歳の第一人者は「この記録で絶対に満足してはいけない。また良くなるように、練習も試合もやっていきたい」と貪欲。まだまだ成長する。
◆北口の逆転V 23年8月のブダペスト世界陸上は4位で迎えた最終6投目で66メートル73のビッグスローをみせて首位浮上。劇的な形で日本女子フィールド種目初の金メダルを手に入れた。さらに24年9月のDLファイナルでは最後に66メートル13のシーズンベストをマークして逆転で2連覇。大一番で強さを発揮し続けているが、自身としては「臨んでいるシチュエーションではない。すごく盛り上がりますが、もうちょっと早めに投げたい」と苦笑いした。