◆陸上 ダイヤモンドリーグ 第6戦(日本時間13日、ノルウェー・オスロ)

 女子やり投げは、昨夏パリ五輪金メダルの北口榛花(27)=JAL=が64メートル63の今季自己ベストをマークして優勝した。最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)は今季初勝利で2022年の初優勝以来、通算10勝目。

4投目まで60メートル86が最高で4位にとどまっていたが、5投目に記録を伸ばして逆転V。体調不良で直前の2大会を欠場するなど万全では無い中、女王の底力を見せつけ、2連覇を狙う9月の東京世界陸上(国立)へ勢いをつける。

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 鹿児島・奄美大島で北口の公開練習が行われた3月。練習後のプチ写真撮影会で瞳をキラキラさせた女子中学生が「やり投げを高校から始めようと思っています。今は砲丸投げをやっています」と駆け寄った。実はやり投げは高校からの競技で、中学の投てき種目は砲丸投げのみ。やり投げ競技人口の増加を熱望する北口にはうれしい出来事だった。

 「やりを触ったことがありますか?」。「いえ、まだ…」。頬を赤らめた少女に助言した。「最初はまっすぐに投げるのが難しかったり、(やりが)長いから構えるのも大変。でもその構えを保持できることがきれいに飛ばすために一番大事なこと。

最初を大事にしてね」。トップアスリートに憧れた中学生の頃の自分と少女の姿を重ねたのかもしれない。初心を大事にする北口の思いが伝わる場面だった。(手島 莉子)

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