大相撲で史上3人目となる英国出身(1997年中国返還前の香港を含む)力士が誕生する可能性が14日、浮上した。15歳ながら約190センチ、100キロ超の巨体を誇るニコラス・タラセンコさんで、湊部屋に入門予定。

今月中に来日を予定しており、日本の文化、角界のしきたりなどを学ぶため、部屋での研修を開始する。早ければ、来年初めにも初土俵を踏む。英国出身力士がデビューすれば、90年夏場所限りで引退した英ノ国(東関)以来となる。

 英国出身の15歳が角界の門をたたくことになった。イングランド北東部ハル出身のタラセンコさんが今月中に湊部屋に入門する。湊親方(元幕内・湊富士)によれば190センチ、100キロ超の巨体で、足が長く「将来的に曙関のような取り口にすることも選択肢」と、強烈な突き押しを武器にした元横綱を参考に育てる予定だ。初土俵を踏めば、元序二段・勢鴻(英連邦香港出身)、同・英ノ国以来の英国出身力士誕生となる。

 英BBC電子版によれば、タラセンコさんは柔道、ラグビーを経験。父と同じエストニア出身で、元大関・把瑠都(カイド・ホーヴェルソン)さんが母国で開催した「バルト杯」で優勝したことから大相撲挑戦を決断。スコットランドにある相撲道場で腕を磨いてきた。

 湊親方との出会いは昨年5月、来日中のタラセンコさんと父が部屋の夏場所千秋楽パーティーに出席したことだった。「大きいな」と第一印象を持った親方に、自ら「大相撲をやりたい」と志願してきたという。

その後、複数回来日して稽古に参加。日本語が理解できず、「全くコミュニケーションを取れず、教えるにも身ぶり手ぶりで教えた」と親方は話すが、熱心に相撲と向き合った結果、原則1部屋1人の外国出身力士枠が空いていた湊部屋への入門が認められた。

 外国出身力士が苦しむ鍋やコメを中心とした食事については「日本のご飯はおいしい」と話しているようで、問題はない。親方は「言葉以外に不安はない」と期待を寄せる。

 今月中に来日し、名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)へ向けて稽古する愛知県内の宿舎に合流予定。外国出身者が新弟子検査を受けるには部屋での研修が必要で今後、半年以上をかけて日本の文化、角界のしきたりなどを学ぶ。初土俵は、早ければ来年初めになる見込みだ。「身長もあるし、やる気もある」と湊親方。英国出身15歳が海を渡り、強い決意で大相撲の世界に飛び込んでくる。

 ◆湊部屋 2010年に先代(元小結・豊山)から引き継ぐ。14年に逸ノ城が、41年ぶりとなる新入幕金星を獲得するなど13勝2敗。昭和以降で幕下付け出しから最速の所要5場所で新三役(関脇)昇進も果たした。

22年名古屋場所で初優勝も果たしたが、23年夏場所前に腰痛を理由に電撃引退した。

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