◆柔道世界選手権第1日(13日、ブダペスト)

 開幕して男女計2階級が行われ、男子60キロ級決勝で、昨夏パリ五輪銅メダルの永山竜樹(パーク24)が、ロマン・ヴァラディエール・ピカール(フランス)に一本勝ちし、自身初の優勝を決めた。今大会の日本勢の金メダル第1号となり、22年大会の高藤直寿以来となる男子60キロ級での優勝となった。

 4度目の出場となった女子48キロ級の古賀若菜(JR東日本)は準々決勝で敗れ、回った敗者復活戦で勝利。3位決定戦で、4連敗中だったパリ五輪銅メダルのシリヌ・ブクリ(フランス)に勝って2大会ぶりに銅メダルを獲得した。

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 男子60キロ級の永山は初戦の2回戦から登場し、身長156センチと小柄ながら、フィジカルを生かしたパワフルな柔道で4連勝。6度目の世界選手権挑戦で自身初の決勝に勝ち進んだ。決勝は試合時間残り約1分に袖釣り込み腰で、残り30秒に背負い投げで技ありを奪い、合わせ技1本で完勝した。

 ブダペストは8年前に初出場し3回戦で敗退した世界選手権の開催地。初戦はひやひやだった。4月の欧州選手権で3位に入ったアハマド・ユシフォフ(アゼルバイジャン)の捨て身技を食らい、開始早々に技ありを奪われる。逃げる相手をとらえられない展開から、三つの指導を何とか引き出してかろうじて反則勝ちを収めた。

 28年ロサンゼルス五輪に向けては「“達人柔道”を目指す」と進化を誓う。パリ五輪は準々決勝で不可解な判定に泣く銅メダル。雪辱を期すロス五輪は若手の突き上げも受ける立場だ。

4月で29歳になり、「年齢を重ねて体の切れは衰えてくるかもしれない。細かな技術を身につけて、気付いたら投げているみたいな達人的な柔道ができるように」と決意した世界選手権。悲願の世界王者となり“無冠の帝王”を返上した。

 ◆永山竜樹(ながやま・りゅうじゅ)1996年4月15日、北海道・美唄(びばい)市生まれ。29歳。柔道は4歳で始め、小6までは野球と掛け持ち。愛知・大成中、大成高を経て東海大1年で世界ジュニア選手権優勝。18、19年世界選手権銅メダル。17、19、23年マスターズ大会優勝。24年パリ五輪銅メダル。右組み。得意技は背負い投げ、袖釣り込み腰。

家族は妻と長男。

 

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