昨年の全国高校男子駅伝で準優勝しながら指導者の交代を決めた学校側に反対して18人が福岡・大牟田から集団転校した鳥取城北が14日、横浜市の日体大横浜健志台キャンパス陸上競技場で行われた日体大学長距離競技会兼ニッタイダイ・チャレンジ・ゲームズ男子1500メートルに出場し、自己ベスト記録を連発した。3分46秒86で全体2位となったエースの本田桜二郎(3年)をはじめ、村上遵世(3年)が3分48秒99、吉田太郎(2年)が3分52秒09、竹ノ下鳳瞳(2年)が3分54秒28といずれも自己ベストの好タイムでゴールした。
レース中盤、積極的に先頭を走り、2位でゴールした本田は「目標は3分43秒だったので、自己ベスト記録でも悔しいです。昨日(13日)、西脇工業(兵庫)の新妻遼己君(3年)が3分43秒台(3分43秒94)で走っていたので、その記録を意識していました」と冷静にレースを振り返った。
本田は、昨年の全国高校総体1500メートルで日本人2年生としてはトップの5位入賞を果たしたが、今年は全国高校体育連盟の規定で出場できない。「全国高校総体がないからと言って、緊張感がなくならないように集中力を持って練習しています。仲間がいるから頑張れます」と前向きに話す。15日には同競技会の5000メートルにチームメートのペースメーカーとして出場する。「チームメートが自己ベスト記録を出せるように、しっかり設定ペースで走りたいです」と表情を引き締めた。
全国高校体育連盟の規定では転校後、6か月(水泳は1年)は同連盟の主催大会に出場できない。そのため、大牟田から転校した2、3年生は夏の全国高校総体、また、その予選に当たる県大会や中国大会は不参加。赤池健監督は「全国高校総体がない分、レベルの高いレースに参加し、選手に緊張感を与えています。みんな、よく頑張っています」と話す。2週間前の同競技会では5000メートルで自己ベスト記録を連発した。
秋からの駅伝には、転校した選手たちも正式に出場できる。昨年12月の全国高校駅伝ではエース区間の1区(10キロ)で29分12秒で区間2位と好走し、チームの2位に貢献した本田は「今年は鳥取高校駅伝でも、全国高校駅伝でも1区で区間賞を目指します。走りでチームを引っ張りたい」とエースとしての責任感をにじませた。
環境が変わり、全国高校総体に出場できないという制限がある中でも鳥取城北への転校を決めた。自ら考え抜いた上で、新天地で競技をすることを決断した高校生ランナーたちは、心身ともに成長を続けている。
◇大牟田から鳥取城北へ集団転校の経緯 関係者の話を総合すると、昨年11月の福岡県高校駅伝に優勝し、2年連続45回目の全国高校駅伝出場を決めた後、学校側は25年度から磯松大輔監督を招へいし、実質的な監督だった赤池健ヘッドコーチ(HC)をサポート役に降格する方針を決定。選手と保護者は反対し、撤回を求めたが、覆ることはなかった。その後、赤池氏は大牟田のHCを辞任し、鳥取城北の監督に転職することを決めた。各選手が保護者と話し合った結果、当時1、2年生(現2、3年生)19人のうち18人が赤池氏の指導を受けることを希望し、鳥取城北へ転校した。赤池氏の指導を希望して牟田への入学を予定していた新入生の大半も鳥取城北へ進路を変更した。