20日の金曜ロードショー(後9時)は、中2週で再びトム・クルーズの代表作が登場。「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」(2023年)が、放送枠を大幅に拡大して放送される。

その放送時間、何と3時間14分! 通常から枠を80分拡大するのは、金ローでは21世紀に入って最長という。

 現在、大ヒット公開中のシリーズ最新作「―ファイナル・レコニング」との2部作として製作された本作は、公開時は「―デッドレコニングPart1」のタイトルで公開された。だが、新型コロナウイルスの感染拡大や、トムのもう一つの代表作「トップガン マーヴェリック」(22年)の公開などが影響して製作状況が変化したことなどから、8作目のタイトルが「―Part2」から「ファイナルレコニング」に変更されることに。そのため、現在はタイトルから「Part1」が外されている。

 同シリーズで毎回、トム演じるイーサン・ハントは「見えない敵」「謎の組織」との戦いを繰り広げるが、その意味では今回は”最強の敵”との対決となる。というのも、今回は文字通り「姿の見えない」相手との戦いとなるからだ。

 過去にイーサンとの因縁を持つ「ガブリエル」という悪役は登場するものの、今作の真の敵は彼を利用して自らの存在を守ろうとするAI。通信機器や兵器などがネットで管理されている現代において、AIはどこにも自由に侵入することができ、また支配することができる。その中で、イーサンたちはどのようにして敵を追い詰めていくのかが、これでもかというスリルの連続で描かれていく。

 もちろん”直接対決”をするのは人対人なので、ド派手なアクションはタップリ。本作では公開時の予告にも使われていた、ノルウェーの断崖絶壁からのバイクでのダイブがあまりにも有名だが、個人的にはイタリア・ベネチアでのシーンが好きだったりする。

 世界中の観光客が集まる世界遺産都市で、3大映画祭が開催される場所でもある同所は、街中に張り巡らされている水路とそこを進むゴンドラやモーターボート、狭い路地などが特徴。

その”環境”が諜報員たちが活躍する場に合っているのか、同所を舞台にしているスパイ映画は記憶に残っているものが多いという印象だ。

 本シリーズと双璧をなすスパイ映画の「007」シリーズでは、ダニエル・クレイグ主演1作目で、人気の高い「―カジノ・ロワイヤル」(06年)のクライマックスがベネチア。また、同シリーズでは「珍作」とも言われるものの、記者は意外に好きな作品である「―ムーンレイカー」(1979年)にもベネチアが登場した。また、アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップの共演が話題となった「ツーリスト」(10年、日本公開は11年)もベネチアの街を所狭しと動き回る姿が描かれている。

 ところで、今回の放送決定が知らされて、記者は「なぜ、間に『リロ&スティッチ』を挟んだの?」とラインアップに疑問を感じた。確かに、「リロ―」を実写版の公開週に合わせたという理由はあるだろうが、それなら「ミッション―」を1週前倒しして4週連続放送にすれば何の問題もない。というより、視聴者にとっては「復習」がしやすかったのではないだろうか。

 そんなことを考えながら本作を見返していたら、イタリアのカーチェイスシーンで衝撃が走った。多少のネタバレはお許しいただきたい。イーサンは道中で車を乗り換えることになるのだが、その時に登場するのが黄色のフィアット500。そう、来週放送の「ルパン三世カリオストロの城」でルパンたちが乗っている車なのだ。この”流れ”を作ったのが意識的だったら、すごすぎる…。

本当のところはどうなんでしょう、編成担当さん?(高柳 哲人)

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