バスケットボールB1のレバンガ北海道の新オーナーに就任した小川嶺氏(28)が19日、新本拠地について「札幌駅周辺を第1候補にしたい」と明かした。この日、札幌市の秋元克広市長(69)を表敬訪問し、構想を伝えた。

敷地面積3ヘクタール(約9000坪)以上、収容人数1万人超の新アリーナを10年以内の開業というビッグプランの実現に向けて取り組む。

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 若きオーナーは明快にビジョンを語った。秋元市長との懇談で、小川氏は新本拠地の必要性を説き、「今後、札幌駅周辺の利便性の高い場所にアリーナを造りたい。町が新しく造られるくらいの規模をレバンガとしてもチャレンジしていきたい」と構想を明かし、市の協力をお願いした。

 現在使用されている北海きたえーるの収容人数は約6200人。今季のホーム戦30試合の平均観客数は過去最多の5378人で、平均は初めて5000人を超えた。オーナーは懇談後、「1万人を超える規模のアリーナを造らないと意味がない」と語り、敷地は3ヘクタール(約9000坪)が必要と試算した。

 アリーナはオフィスや飲食店、ホテルなどを集約した複合施設をイメージし、予算は「数百億で収まる話ではなく、1000億円に乗ると思う。駅近くに造ることで、北海道を中心とする地場の企業から出資を募っていきたい」と言及した。

 既に建設地の選定を始めており、関係企業と接触している。候補地は現在ある建物を更地にする作業が必要なため、「10年近くかかってしまうが、どこまで早めることができるかが重要」と早期の完成を目指す。市は新本拠地を大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)の敷地内に月寒体育館の移転・新築する計画を示しており、双方の調整が急務となる。

 「18歳からずっと町づくりをやりたいという思いを持っていた」という小川氏は、単発アルバイトの仲介アプリ運営「タイミー」(本社・東京)の創業者で代表取締役社長も務めている。6日に新オーナーに就任。パリ五輪日本代表・富永啓生(24)を獲得するなど「新生レバンガ」の構築へ、新しい息吹を吹き込み続ける。(飯塚 康博)

 ◆小川 嶺(おがわ・りょう)1997年4月13日、東京都生まれ。28歳。立大在学中の2017年にアパレル関連業「レコレ」を創業。18年にスキマバイトアプリ「タイミー」のサービスを開始し、昨年12月時点の登録者数は約1000万人。今月6日に小川氏が代表を務めるレコレがレバンガ北海道の株式の過半数を取得し、オーナーに就任した。

 変革の土台にあるチーム強化も積極的に進める。今季は通算21勝39敗の東地区5位でシーズンを終えた。来季は富永を中心とした編成となる見通しで、小川氏は「しっかりと強化するために(チームの)人件費を2倍にするぐらいの投資をしたい」と明言した。

 Bリーグが昨年秋に公表した2023―24年シーズンのB1全24チームの人件費の平均は年間約7億2700万円。

レバンガは年間約4億1400万円で22番目の金額だった。チームの健全経営を優先させたため、人件費は抑えめにせざるを得なかった。

 新オーナーを迎え、富永をチーム史上最高額の年俸(非公表)で迎え入れるなど準備は着々。来秋開幕の新カテゴリー「Bプレミア」を見据え、将来的に日本一を争えるチームに発展させていく。

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