静岡県による「静岡茶ブランディングプロジェクト」の総合プロデューサーに就任した佐藤可士和氏(60)がこのほど、鈴木康友知事(67)を表敬訪問した。クリエイティブディレクターとして、ユニクロや楽天など世界的な日本企業のロゴやブランディングを手がけた同氏は「日本茶の魅力をまだまだ世界の人は知らない」と強い意欲を見せた。
全国にある茶園面積の40%弱を占める静岡だが、昨年は製品として仕上げる前の「荒茶」生産量が鹿児島に抜かれ、初めて全国1位から陥落した。また、県内に約20の産地がある反面、全国的なブランド力が弱いとされている。その現状でコンペの末に託されたのが佐藤氏。企業だけでなく、伝統産業では今治タオルを復活に導いている。
県庁を訪れる前は、朝から1日かけて菊川市、掛川市、静岡市の茶園や研究センターを回り、現場の人たちに質問していった。自身は東京都出身だが、母親の地元は牧之原市で静岡にゆかりがある。「(産地や種類が)たくさんあることが価値かもしれないし、唯一無二のものを構築したい。宝がたくさん眠っているのではないかと思います」。今年度中には静岡茶を国際的なブランドにするためのロゴ、コンセプトを決める方針となっている。
(武田 泰淳)