女優の遠野なぎこさんが死亡していたことが17日、捜査関係者への取材で分かった。45歳だった。

3日に東京・豊島区の自宅で遺体が見つかり、警視庁が身元の確認を進めていた。現場の状況などから事件性はないとみられる。親族はこの日、遠野さんの公式ブログで死因について「事故によるものであり、自死ではございません」と伝えた。葬儀は近親者のみで執り行われるという。

 飾らない人柄と、ワイドショーやバラエティー番組に出演し、歯に衣(きぬ)着せぬ発言で注目を集めた遠野さんが逝った。

 捜査関係者によると、3日午後3時10分頃、遠野さんの関係者から「部屋に来たが、鍵がかかっていて中に入れない」と110番があった。駆け付けた捜査員が室内で遺体を発見。外傷や、外部から侵入された形跡はなく、事件性はないとみられる。

 4日に一部メディアで、遠野さんの自宅から身元不明の遺体発見と報じられたが、この間、DNA鑑定などを行い、遺体の身元を確認していた。

 遠野さんは6月24日にブログでメンタルクリニックのオンライン診療を受け、同26日に「うつ病」と診断されたことを報告。最後の更新となった同27日には訪問看護の契約をしていたことを伝える一方、「あたしゃ、まだまだ生きるぞ」と前向きな心境もつづっていた。ブログには17日、親族一同が「遠野なぎこが永眠いたしましたことをご報告申し上げます」と投稿した。

「故人の名誉のため」として、死因については「警察の見解によりますと、事故によるものであり、自死ではございません」と明らかにした。

 遠野さんは神奈川県出身。子役としての活動を経て、1994年から「遠野凪子」名義で女優活動を本格化させた。99年にNHK朝の連続テレビ小説「すずらん」でヒロインに抜てき。北海道の炭鉱の街で駅に置き去りにされ、母親を探しながらたくましく生きる主人公・常盤萌を演じた。

 その一方、15歳から過食嘔吐(おうと)などの摂食障害に苦しんでいることを公表した。自伝的小説「一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ」(2013年)の中では実母から壮絶な虐待を受けたこと、過量服薬に苦しんできたことを告白。自身の外見を醜いと思い込み、極端に不安を感じてしまう醜形(しゅうけい)恐怖症になったことも明かした。精神的な浮き沈みが激しいとしながらも、近年は自身と同じ病気に悩む人たちに向けて、積極的にメッセージを発信していた。

 私生活では3度の結婚、離婚を経験。1度目の結婚は72日間、2度目は55日間、3度目は15日間と、いずれも長くは続かなかった。

 ◆遠野 なぎこ(とおの・なぎこ)1979年11月22日、神奈川県出身。

99年NHK連続テレビ小説「すずらん」でヒロイン。2001年映画「日本の黒い夏―冤罪」で日本映画批評家協会新人賞。代表作に映画「海は見ていた」、ドラマ「冬の輪舞」。TOKYO MX「バラいろダンディ」、フジ系「アウト×デラックス」で人気を博した。

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