日本人女性で初めて北極点に到達した冒険家で女優の和泉雅子(いずみ・まさこ)さんが9日午後1時3分、原発不明がんのため自宅で死去した。77歳。
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国内外で評価された和泉さんの代表作「非行少女」は、監督が「キューポラのある街」(62年)の浦山桐郎氏。15歳の少女を演じたが、最初から強烈だ。ビールを一気飲みし、たばこも吸う。貧しさから人生思い通りにならない怒りを体内に充満。海を見れば飛び込み、感情があふれれば絶叫する。まるで本能で生きるオオカミのよう。問題行動ばかりで大人も手がつけられない。狂気すら感じさせた。
そんな中、幼なじみの裕福な青年(浜田光夫)だけは彼女に好意を寄せ、決して見捨てない。その誠実さは、少女の目を覚まさせる。