◆大相撲 ▽名古屋場所8日目(20日、IGアリーナ)

 東前頭4枚目・伯桜鵬が横綱・大の里を撃破し、初金星を飾った。両親が見守る前で、アマチュア時代からのライバルを圧倒。

史上最速の初土俵から所要1場所で新十両など「令和の怪物」と呼ばれた世代の旗手が復調気配だ。大の里は2敗目。1敗は関脇・霧島、平幕の玉鷲、一山本、草野の4人となった。

 新アリーナ内に座布団が舞う中、伯桜鵬は夢心地だった。「横綱を引かせた時がチャンスだと思っていた」と、立ち合いから思い切りよく踏み込んだ。圧力負けせずに大の里を呼び込ませて、一気に押し出し。初金星を祝福する館内の歓声に「自分が横綱に勝ち、座布団が舞う光景を見て夢かと思った」と喜びをかみ締めた。56本の分厚い懸賞の束を受け取り「(喜びが)思わず顔に出そうになった」と21歳らしい笑顔で語った。

 23年初場所初土俵の伯桜鵬は、同年夏場所デビューの大の里より早い入門。新入幕の23年名古屋場所で優勝争いに加わり「令和の怪物」として先に脚光を浴びた。だが、以降はけがに苦しんで低迷。その間に大の里が出世街道を突き進んだ。

 アマチュア時代を含め、大の里に勝利したことがなかった。前夜には両親から、鳥取城北高2年時に稽古場で、日体大の学生だった大の里に一度だけ勝った際の取組動画が送られてきた。一晩中「ずっと見ていて、その通りにできた」。この日、観戦に訪れていた両親の目の前で恩返し。「いいところを見せられて良かった。うれしいが切り替えて明日に集中したい」。今場所は自己最高位。初金星を後半戦の躍進への起爆剤に変える。(大西 健太)

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