◆第57回函館2歳S・G3(7月20日、函館競馬場・芝1200メートル、良)
第57回函館2歳S・G3が20日、函館競馬場で行われ、9番人気のエイシンディードが1分8秒4のレースレコードで逃げ切り、世代最初のタイトルを手にした。短期免許で19日から騎乗しているレイチェル・キング騎手(34)=英国出身、豪州拠点=は、2月のフェブラリーS以来となるJRA重賞5勝目。
キング姐さんが再来日最初の重賞でいきなり決めた。エイシンディードは地方・門別からの転入初戦。過去2戦はダート1000メートルと距離も芝も初めてだったが、積極的な手綱さばきで伏兵を逃走Vに導いた。
後続を2馬身差で完封。レースレコード(ダート1000メートルで行われた94年を除く)を0秒8更新する勝利に「JRA初出走でしたが、非常にいいスタートを切れてそのまま逃げ切ることができた。残り600メートルからギアチェンジをして、1200メートルは強い」とキング。初めてコンビを組むパートナーの武器を最大限に発揮し、会心の笑みで振り返った。
女性騎手として初となるJRA平地G1制覇は、だてではなかった。年初の来日では初日に京都金杯をサクラトゥジュールでV。フェブラリーSでは実戦初騎乗のコスタノヴァを堂々とエスコートしてビッグタイトルを獲得。ファンのハートをがっちりつかんだ。
今回取得した19日から8月18日までの短期免許で初めて函館に参戦。
小倉で観戦した大久保調教師も「初めての芝で流れに乗って、キング姐さんがうまかった」と手綱さばきに賛辞を惜しまなかった。母エーシンエムディーも管理したトレーナーは「母は芝で走っていたし、スタッフからも芝向きだと聞いていて問題ないと思っていた」と十分勝負になると見込んでの参戦だった。
次戦は馬の様子を見て判断されるが、世代最初の重賞勝ちを飾り、展望は大きく開けた。(地)馬としてレース史上初V。非凡なスピードで強烈なインパクトを残したファインニードル産駒から、今後も目が離せない。(石行 佑介)
エイシンディード 父ファインニードル、母エーシンエムディー(父キングカメハメハ)。栗東・大久保龍志厩舎所属の牡2歳。北海道浦河町・山田昇史牧場の生産。通算3戦2勝(うち地方2戦1勝)。総獲得賞金は3334万1000円(うち地方190万円)。重賞初勝利。