◆第61回小倉記念・G3(7月20日、小倉競馬場・芝2000メートル、良)

 サマー2000シリーズ第3戦の第61回小倉記念・G3(小倉)は、最軽量ハンデ51キロで9番人気のイングランドアイズ(松若)が重賞初Vを飾った。

 とても紅一点の伏兵とは思えない。

格上挑戦で9番人気のイングランドアイズが堂々の横綱相撲で圧倒した。道中は最内枠からロスなく好位で立ち回り、加速をつけて迎えた最後の直線。馬群の中で追い出しの時を待った。ラスト1ハロンで入れた右ステッキで勝利への道をこじ開け、外のシェイクユアハートをかわした後も脚は鈍らない。1馬身3/4差の完勝で重賞初勝利を決めた。

 「素直にすごくうれしい気持ちでいっぱいです」と満足そうに汗をぬぐった松若。22年のラジオNIKKEI賞以来、約3年ぶりの重賞勝利に懐かしい記憶がよみがえった。アズマシャトルに騎乗した15年の小倉記念で自身の重賞初V。そのレース直後、他厩舎の馬ながら満面の笑みで駆け寄ったのが師匠の音無調教師だった。恩人は今春に定年引退。影響は大きく、今年はこの日まで7勝と苦しんでいた。「ここ最近いい結果を残せていなかった」と冷静に振り返りながら、「初めて重賞を勝った思い出のある競馬場で勝ててうれしいです」と笑みを浮かべた。

 偉大なDNAが目覚めた。母は14年オークスなど国内外で重賞4勝のヌーヴォレコルト。母だけでなく、きょうだいも全て所有する原礼子オーナーにも忘れられない勝利となった。「それはうれしいですよ。ヌーヴォと同じような走りでしたね。これから成長力もあると思いますから」とほほ笑んだ。

 最軽量ハンデ51キロで他の15頭を撃破。安田調教師は「別定の真っ向勝負より、ハンデ戦を選択肢に入れていきたい」と冷静に語り、次走の候補にチャレンジC(9月13日、阪神)を挙げた。蒸し暑さに包まれた夏コクの最終週に、熱い思いを乗せた5歳牝馬の激走がしっかりと刻まれた。(山本 武志)

 イングランドアイズ 父キングマン、母ヌーヴォレコルト(父ハーツクライ)。栗東・安田翔伍厩舎所属の牝5歳。英国のHara Reiko Racing Co. Ltdの生産。

通算成績は16戦4勝。重賞初勝利。総獲得賞金は1億569万8000円。馬主は原礼子氏。

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