28日に全国高校総体の開会式を迎える女子サッカーに常葉大橘(東海1位)が出場する。静岡県内で行われた18年に「開催地枠」で出場したが、自力での全国切符獲得は初。

攻守でカギを握るのはMF小島あのん(3年)だ。チーム一の声量を誇るボランチが司令塔となって悲願の全国初タイトルを奪いにいく。1回戦は29日、宇都宮文星(関東3位)と対戦する。

 北の大地に「橘」の名前をとどろかせる。7年ぶりに立つ全国総体の舞台。今回は静岡県大会決勝で全国5連覇中の藤枝順心を破り、東海大会も3連勝で突破して自力での出場をつかんだ。小島は「目標は優勝です」と声を大にした。

 文字通り、チームのかじ取り役を担う。落合史裕監督(35)は「フィジカルも強く、精神的支柱でもある」と期待を込める。主戦場はボランチ。ピンチの芽を摘むだけでなく、東海では3得点3アシストを記録するなど攻撃でも主役級の働きを見せる。「ゴール前で関わることが多くなる」と本人も気合十分だ。

また「チームで一番声がでかい」のも大きな強み。守備のスライドや劣勢時の盛り上げなど、“拡声機”の役目も果たすつもりだ。

 勝ち進めば日ノ本学園(近畿2位)や神村学園(九州1位)など全国常連校と対戦する可能性が出てくる。その際は県決勝の順心戦同様、センターバックでの起用も選択肢の1つになる。「ラインの上げ下げでしゃべれるし、体も張れる。このオプションがあるのは大きい」と指揮官。小島は「チームに貢献できればどちらでも」と自分に言い聞かせるようにうなずいた。

 東海大会後の練習試合では帝京三(山梨)に1―0、湘南ベルマーレ女子U―18に5―1と好調を維持している。落合監督も「比較的戦えているし、底上げもできている」と手応えを口にする。小島を中心に初戦から圧倒し、順心を上回るインパクトを残していく。(武藤 瑞基)

 〇…県決勝で先制ゴールを決めながら左足甲を痛め負傷交代したエースのFW松浦芽育子(3年)は、すでにランニングを再開。急ピッチでリハビリを進めている。

はり治療を受け、患部に効くとされる漢方薬も飲み続けているという。「徐々に雰囲気が良くなっているのが分かる。自分も乗り遅れないように、合流した時に足を引っ張らないようにしたい」と執念で間に合わせる。

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